大阪市内の中学校に「全員給食」を2013年度中に導入する方針を、橋下徹市長が固めた。公立中学校での給食の実施率は、全国平均で75.9%にのぼるが、大阪市は12年9月まで「未実施」で、「家庭弁当持参」を基本としていた。
「全員給食」で、毎日弁当をつくる負担から解放されることになる親の立場からは、「母としては嬉しい」「助かる」などと喜びの声があがっている。
給食実施率、大阪府は10.6%で最下位
大阪市は2013年度中に、全128の市立中学校で全員給食を導入する方針だ。それにともなって、橋下徹市長は13年度以降、経済的に苦しい家庭に給食費(1食300円)の半額を補助する意向を12年10月16日に表明した。9月に市立中のうち45校で導入した、各家庭が給食か家庭弁当かを選択できる「選択給食制度」の申込みが、対象生徒の14.3%と低迷しているため、利用を促進する狙いがあると見られる。
「全員給食」の方針の背景には、大阪は府全体として、給食実施率が全国平均と比べ著しく低いことがあげられる。2011年度の文部科学省の調査によると、公立中学校での米飯やパン類とおかずなどで構成された「完全給食」の実施率(生徒数ベース)は、全国平均で75.9%にのぼる。ところが、大阪府の場合は全国最下位の10.6%。大阪市にいたっては、2008年の段階では市立の中学校全てが給食「未実施」だった。なお、給食の実施は学校給食法の第4条で「努力義務」とされている。
これまで、大阪市では「家庭弁当持参」を基本としていたが、毎日弁当を作るとなると、作り手となる親の負担も少なくない。「毎日お弁当作りが本当に悩みの種です」――給食実施率が13.6%と大阪に次いで低い神奈川県に住む、中学1年生の子どもを持つ母親は、Q&AサイトYahoo!知恵袋にこう書き込んだ。弁当作りには休みがないうえ、給食と違って補助がなく全額負担となるため「お金がどんどんかかる」と嘆く内容だ。
こうしたこともあって、大阪市内の中学生は、家庭弁当ではなくおにぎりやサンドイッチといった簡易な食事で済ませていることが多く、栄養バランスのとれた昼食を選択していない、と市教育委員会も指摘している。
給食に賛成の親の方が多い
「全員給食」は、こうした負担を軽減する策となるのだろうか。市が2008年におこなった調査では、給食を希望する中学生の保護者は全体の6割を占めていた。今回の「全員給食」の方針を受けて、はやくも「母としては嬉しい」「助かるぅ♪ 仕事早い時とか…有難い」といった喜びの声が、ツイッターに投稿されている。
また、先の質問サイトには「給食か弁当か」についての質問も複数立っていて、親や子どもらがそれぞれの立場から意見を戦わせている。親の場合は、給食に賛成する意見が優勢のようだ。
「親からすれば給食です。給食のように毎日栄養を考えたお弁当って正直無理です。働いているので毎日お弁当作るのも大変だし。喜んでお金払います」
「夏の傷みや、冬の冷たいお弁当を考えると、親は給食がいいと思いますね」