日中関係悪化、インドにチャンス到来 有力紙が「中国の代替地を提供せよ」と提言

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   沖縄県・尖閣諸島をめぐって悪化する日中関係をみて、インドが日本企業に「救いの手」を差し延べている。インドの有力紙「タイムズ・オブ・インディア」は、2012年9月24日付の社説で、「インドは日本からの投資を引き出すチャンスだ」と報じた。

   インドは、面積で欧州連合(EU)27か国とほぼ同じ。人口12億1000万人は世界第2位。経済力は東南アジアのアセアン諸国10か国に匹敵する、大国。在インド日本大使館によると、日本からは2011年10月時点ですでに812社が進出している。

「日本の貿易や投資のシェアをより拡大できるだろう」

   「タイムズ・オブ・インディア」は、「中国における反日感情の再燃は一定の経済的代価を伴う」と指摘。インド政府が実行しつつある新たな海外直接投資策によって、「日本の貿易や投資のシェアをより拡大できるだろう」と期待した。

   そのうえで、「インド政府は日本政府に対して、中国の代替地を提供するため、あらゆる手立てを尽くすべきだ」と提言している。

   そして、「日本企業も、中国にあるような地政学的問題に束縛されずに済むだろう」とみている。

   インド情勢に詳しい丸紅経済研究所産業調査チームの猪本有紀チーフ・アナリストは、

「ここ数年インドでは、グジャラート州の首相が毎年日本を訪れるなど、日本からの企業誘致の動きを加速させてきましたから、尖閣問題による日中摩擦をみて、そう(チャンス到来と)言いたくなる気持ちはわかりますね」

と話す。

   たしかにインドは海外企業の誘致のため、工場用地などを整備し、必要な規制緩和を進めるなど、企業が進出しやすい環境づくりに取り組んできた。

   その結果、日本企業は2011年10月時点で、前年比12%増の812社が進出。5年前に比べると、3倍近くも増えている。その多くが機械や電気器具、自動車関連などの製造業だ。

   しかし、だからといってインドが中国の「代替地」になるかといえば、猪本氏は「そう簡単なことではない」という。

「中国に比べてインドはインフラ整備なども遅れぎみですし、まだまだ土地の取得がむずかしかったり、法律などが労働者に手厚くなっていたりします」

   スズキはインドでも最も成功した日本企業として有名だが、それをもってしても大規模な労使トラブルに見舞われるほどなのだ。

世界第2位の人口、国内市場はポテンシャルが高い

   インドの「製造工場」としての役割をみても、丸紅経済研究所の猪本有紀氏は「欧州やアフリカ向けの生産拠点としてはいいですが、日本や米国向けには中国や、インドネシアやベトナムのほうが地政学的にもいいでしょう」と、中国の「代替地」となると日本企業はインドよりも東南アジアを優先するとみている。

   とはいえ、インドの国内市場の将来的なポテンシャルは大きい。とにかく、人口の多いことが魅力。また、いまは一人あたりの国内総生産(GDP、名目)が、中国が5414ドルなのに対してインドはまだ1388ドルしかないが、「デリーやムンバイには中産階級層が育っており、大型のショッピングセンターやコーヒーチェーン店などが進出しはじめています。まだまだ伸びていく余地があります」と有望視する。

   インドの国内市場を目当てに進出する日本企業が出てきても不思議ではない。

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