iPadなどのタブレット端末で、テレビ録画などを見ることがやり方次第では違法となることが分かり、ネット上で不満の声が出ている。それは、改正著作権法が2012年10月に施行されることに伴うものだ。
このことを指摘したのは、メディアジャーナリストの津田大介さんだ。
コピーガード解除用ソフト使えば違法に
ニコニコニュースの2012年9月10日付記事によると、津田さんは、改正著作権法について、次のように問題点を指摘した。
「自分が録画した地上波の無料番組をPCで形式変換してiPadで見ようとすると、10月から違法になってしまうんです」
この発言は、ニコニコ生放送の番組「津田ブロマガeXtreme」で8月27日に出たものだ。
改正著作権法では、違法にアップロードされた音楽ファイルなどをダウンロードすると刑事罰を科されるほかに、テレビ番組やCD、DVDなどのコピーガードを解除してコピーすることも違法になる。私的な使用であっても同じだが、こちらはまだ罰せられないことになっている。
iPadなどについては、コピーガード解除用ソフトを使って、テレビ録画を見られるようにする方法も行われている。ブルーレイディスクなどに録画したテレビ番組を、このソフトを使ってパソコンに取り込む。そして、mp4形式などに変換した後、iTunesに録画番組を入れ、それをiPadに移すやり方だ。
ところが、改正法施行後は、このソフトを使うことが違法になる。
テレビ番組コピーの方法を紹介するあるサイトでは、このやり方について、「違法となります」とし、「(ソフト)入手先は、あなた自身でお調べください。お問い合わせいただいても回答することはできません」と書かれてあった。
「なんで利便性を殺すことしかしないの?」
もっとも、iPadなどのタブレット端末でも、違法なやり方をしないで、テレビ録画を見る方法はある。それは、ポケットサーバーやチューナーなどを別に買ってiPadにつなげるものだ。
ただ、コピーガード解除用ソフトを使ったときのように、端末を持ち歩くだけで、気軽にテレビ録画を楽しむことはできない。テレビ録画を見られるアプリもあったが、そばにパソコンがないとできないようになっていた。
いわば、改正著作権法は、テレビ録画などをタブレット端末で自由に楽しむのを阻害しているわけだ。ニコニコニュースによると、津田大介さんも前出の番組内で「別に他人にばらまくわけじゃなくて、自分の便利なiPadで見るための楽しみまで否定される」と指摘していた。
改正は、業界からの圧力による勇み足だったともいい、コピーガード解除もいつかは刑事罰化されるとみられている。それだけに、ネット上でも、「なんでこの国利便性を殺すようなことしかしないの?」「時代と逆行して何になるんだ」「営利を優先し規制に走るサービスは衰退するのみ・・・」と不満の声が相次いでいる。