9月4日は「クジラの日」 疲労回復の健康食として注目して!

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   2012年から9月4日を「クジラの日」と定め、日本鯨類研究所は「クジラの肉を食べよう」と呼びかけている。

   高たんぱく、低脂肪に加え、クジラの肉には「バレニン」と呼ばれる成分が含まれている。「イミダゾール ジペプチド」という抗酸化成分の一種で、疲労回復機能や疲労予防を高めるとされ、最近注目を集めている。

クジラ特有の「第3の抗疲労成分」

最近はいろいろなアレンジで楽しまれているクジラ料理(写真は、ニラとクジラの赤肉を炒めた「ニラゲー」)
最近はいろいろなアレンジで楽しまれているクジラ料理(写真は、ニラとクジラの赤肉を炒めた「ニラゲー」)

   かつては安価で、学校給食のメニューにものぼったクジラ肉だが、1982年に国際捕鯨委員会(IWC)で商業捕鯨モラトリアムが採択されて以降、流通量は大きく減り、「珍味」「希少食材」になった。

   日本捕鯨協会によると、クジラ肉の国内流通量は2011年で2120.9トンと、前年に比べて1499.6トンと大きく減った。10年までは約4000トン前後で推移していた。

   クジラ肉は調査捕鯨の「副産物」だ。11年は北西大西洋での調査捕鯨は順調だったが、南極海では反捕鯨団体による激しい妨害、抗議活動などがあって大きな影響を受けた。流通量が減ったのはその影響がある。

   そうしたなか、クジラの調査研究機関である日本鯨類研究所は、クジラ肉に「抗疲労力」があることを突きとめ、さらに研究を進めている。

   「バレニン」は、2009年にクジラの肉に多く含まれていることが判明。鶏肉に多く含まれている「カルノシン」や、マグロやカツオなどに含まれる「アンセリン」という2種類の「イミダゾール ジペプチド」と同じ、抗酸化成分であることがわかってきた。

   肩こりや筋肉疲労などは、活性酸素が体内を酸化させることが原因のひとつとされる。そのため、疲労を軽減したり、疲労回復機能を高めたりするには、抗酸化成分が有効と考えられている。「バレニン」にもその力があるということらしい。

   しかも鳥や豚、マグロやカツオには含まれていない、クジラ特有の成分といってもいいほど、多くの含有量があるようなのだ。

   同研究所の田村力・生態系研究室長は、「カルミノンやアンセリンはすでに人体治験を済ませ、サプリメントなどの商品があります。バレニンは現在、当研究所でラットに投与し効果をみていますが、優位性も、統計上の効果もみられます」と、「第3の抗疲労成分」として自信をみせている。

「クジラのいいところを広めていきたい」

   「疲れがとれない」「疲労感がある」という人は少なくない。睡眠不足や運動不足がストレスとなり、疲労が蓄積されているのだ。

   前出の田村室長によると、「クジラの赤肉は、そもそも高たんぱくで低脂肪、低カロリー、さらには鉄分が豊富なので貧血の予防にも役立つ健康食なんです」と話す。

   古くは捕鯨が盛んだった高知県や和歌山県、長崎県などでよく食べられていたが、「日本海側などでも、米との物々交換で手に入れて食べるほどだったようです。函館では正月に『クジラ汁』を食し、新潟では夏にウナギの代わりとなるスタミナ源として食べる習慣があります」とのことで、クジラ肉は全国的に食べられていた。

   「高価」な印象もあるが、最近は赤肉100グラムあたり298円~498円と手頃な値段で販売されている。「クジラのいいところを広めていき、知ってもらい、クジラ肉をもっと食べてもらいたい。それもあって『くじらの日』を定めました」と、田村室長はいう。

   ネットには「クジラ横丁」なるサイトもあって、「クジラの日」を記念して全国各地で繰り広げられるイベント情報や、手軽にできるクジラ料理やクジラ肉を購入できる店などを紹介している。

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