セブンイレブンのアルバイト店員が、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のメンバーが来店した様子がおさめられた防犯カメラの画面をツイッターに投稿したとして、インターネット上で話題になっている。
一般的にコンビニエンスストアなどに設置された防犯カメラの映像は警察の要請なしに公開していないため、店員が勝手に流出させることは大変な問題だ。
「それ防犯カメラ?」に「そうやで!」
2012年8月13日、あるツイッターユーザーが「店にももクロ(ももいろクローバーZ)の玉井(詩織さん)と高城(れにさん)とあーりん(佐々木彩夏さん)きたw」とツイートした。その翌日、「あっこれがきのうきたももクロw」という文とともに、玉井さん、高城さん、佐々木さんと思われる人物が写った画像を投稿した。フォロワーから「それ防犯カメラ?」と聞かれると、「そうやで!」と返信しており、防犯カメラの映像のキャプチャー画像を投稿したものと思われる。
このツイートが2ちゃんねるに晒されると、ツイート主がプロフィールに公開していた情報や本人のブログ記事などから、本名、独特の踊りや声援でアイドルなどを応援する「オタ芸」で活動するグループの一員でテレビ出演の経験もある男子大学生であること、さらに通っている大学や内定先まで特定された。画像に写りこんだ店内外の様子から具体的な店舗名も推測されてしまい、大学や内定先、店舗に電話しようという動きもあった。騒ぎが大きくなり、既にツイート主はツイッターアカウントを削除している。
セブン&アイ・ホールディングスに確認したところ、千代田区内の店舗で働くアルバイト店員が防犯カメラの画像を無断で投稿したのは事実で、画像やツイッターアカウントは本部との話し合いの上、本人が削除したという。本人にはすでに厳重注意しており、今後就業規則に基づいて厳正な処分を下すとのことだ。
防犯カメラの機器はオーナーや店長が操作するのが一般的で、従業員が操作することはほとんどなかった。ただし、まれに客から「コピー機の中に忘れ物をして取りに来たがなくなっている。確認してほしい」などと依頼され、従業員がやむなく操作する場合もあったという。今後はそうした点の見直しも含め、管理体制を強化していくと話していた。
防犯カメラ映像無断使用され勝訴の例も
経済産業省は公式サイトの「個人情報保護ガイドラインQ&A」で、防犯以外の目的で映像を利用する際、「防犯カメラの撮影による得られる容姿の映像により、特定の個人を識別することが可能な場合には、原則として個人情報の利用目的を本人に通知又は公表しなければなりません」としている。防犯カメラの映像を映っている人に無断でツイッターに掲載するのは個人情報保護法に反していることになる。
もっとも法律にかかわらず、アルバイト店員が防犯カメラの映像を簡単にインターネットにアップロードできるような状態になっているというのはかなり危険な状態だ。
06年には、有名タレントがビデオ店で商品を選んでいるのを撮影した防犯カメラの映像を写真週刊誌が本人に無断で使用しプライバシーを侵害したとして、東京地裁が発行元の出版社に90万円の支払いを命じるという事があった。タレントはこの裁判の後、ビデオを借りるところを盗撮されたことではなく防犯カメラの映像から写真を転載したことに怒ったのだ、これが許されるなら有名人がエレベーターに乗ったり防犯カメラが設置されている街を気軽に歩いたりもできなくなってしまう、と主張していた。
(8月16日21時10分追記しました。)