「福島も前はこうだった」 子どもたちが大自然を満喫 【岩手・花巻発】

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”銀河鉄道”に乗って、Vサインの子どもたち=花巻市内の宮沢賢治童話村で
”銀河鉄道”に乗って、Vサインの子どもたち=花巻市内の宮沢賢治童話村で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   「イーハトーブ(宮沢賢治の理想郷)を五感で感じ取って…」―。東京電力福島第1原発事故で被災した子どもたちを岩手県花巻市に招待し、思う存分、大自然に触れてもらおうというプロジェクトが4日から2泊3日の日程でスタートした。郡山市のNPO法人「移動保育プロジェクト・ポッケア」が参加者を募集し、いわてゆいっこ花巻(望月達也代表)と北上川フィールドライフクラブ(白畑誠一代表)が盛り沢山のイベントを準備した。


   この日、参加したのは福島市や郡山市内の小学生を主体にした19人とスタッフなど合わせて総勢約40人。朝9時過ぎの新幹線で到着した一行はさっそく、宮沢賢治記念館やイーハトーブ館、賢治童話村などへ。銀河鉄道を模した電車に乗ったり、童話「雪わたり」のアニメを見たり…と賢治にどっぷり浸った。「ぼく、賢治さんが大好き。昨年の学習発表会では『注文の多い料理店』に出たんだよ。『雪わたり』を見て、キツネや動物たちの気持ちが伝わってきた」と福島市の小学6年生、設楽侑輝君(11)。


   宿泊拠点の「とうわボランティアの家」では地元の「春日流落合子供鹿(しし)踊り」のお出迎え。8人の舞手のうち5人は女子で、一番年少の小学3年、栁田あやなちゃん(9)は「福島のお友達はこんなに暑い夏でも外では遊べないって聞いている。とっても可哀そう。だから今日は一生懸命、踊ります」。炎天下で汗を滴らせながら、歓迎の「一番庭」を披露した。


   伊達市に住む原田幸子さん(35)は幼稚園年長組の志音ちゃん(5)と参加した。「幼稚園では屋外での遊びがまだ1時間に制限されている。除染は終わったというが、放射能が完全になくなるわけではないし…。小学3年のお姉ちゃんは今、1カ月近い保養プロジェクトに参加して、沖縄に行っています。幼稚園児を対象にしたプロジェクトはほとんどないので、今回は自然の中で思いっきり遊ばせたい」と原田さん。


   初日の夕食はバーベキュー。山ほどの肉や色とりどりの野菜、焼きそば、おにぎり、とうきび、フランクフルト…。福島では屋外での食事など考えられないだけに「夕日を見ながらの食事って、最高。福島も前はこうだった」とみんな大喜びの半面、ちょっぴり寂しそうな表情も。日が沈むと同時に花火が打ち上げられ、自然豊かな北上山地の夜を堪能した。


   2日目の5日は北上川の川下りなどの川遊び、最終日は早池峰登山などを計画している。なお、今回のプロジェクトは大分県豊後大野市のNPO法人「河童倶楽部」の幸野敏治事務局長が全国の川仲間に呼びかけ、ゆいっこ花巻などが賛同。フェイスブックなどを通じた集まったカンパを使い、参加者の個人負担はなしで企画された。

全国的にも有名な”割りばし”で食べる巨大ソフトクリームにみんなびっくり=花巻市内のマルカンデパートで
全国的にも有名な”割りばし”で食べる巨大ソフトクリームにみんなびっくり
=花巻市内のマルカンデパートで
子供鹿踊りのみんなと記念撮影。福島の子どもたちはメッセージを書いた手製のうちわをお礼にプレゼント=花巻市東和町のとうわボランティアの家で
子供鹿踊りのみんなと記念撮影。
福島の子どもたちはメッセージを書いた手製のうちわをお礼にプレゼント
=花巻市東和町のとうわボランティアの家で
待ちに待った夕食。選り取りみどりのご馳走にみんな歓声。「お肉も野菜も福島じゃ、恐々だもの」とと満面に笑顔=とうわボランティアの家で
待ちに待った夕食。選り取りみどりのご馳走にみんな歓声。
「お肉も野菜も福島じゃ、恐々だもの」とと満面に笑顔=とうわボランティアの家で
「福島も早く外で自由に遊べるようになればいいなあ」―。野外での食事にみんなご満悦=とうわボランティアの家で
「福島も早く外で自由に遊べるようになればいいなあ」―。
野外での食事にみんなご満悦=とうわボランティアの家で
初日のフィナーレは花火大会。とっぷりと暮れた夜空に光が点滅した=とうわボランティアの家で
初日のフィナーレは花火大会。とっぷりと暮れた夜空に光が点滅した
=とうわボランティアの家で


ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
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