消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が参院本会議を民主・自民・公明の賛成多数で可決、成立したことを受け、野田佳彦首相は2012年8月10日夕方、首相官邸で会見した。
野田首相は会見冒頭、増税が09年衆院総選挙時のマニフェストに記載されていなかったことを「深くお詫びしたい」と陳謝する一方、「打ち出の小槌のように、どこかからお金がわいてくるわけではない」と法案の意義を改めて強調。法案成立後「近いうちに信を問う」と自民・公明と合意した件については、これまで通りコメントを避けた。
今の社会保障は「未来を搾取するやり方」
今回の法案成立で、現行5%の消費税率が14年4月に8%、15年10月に10%に、2段階で引き上げられる。野田首相は、
「負担をお願いするということは、政治家としては、なるべく自分の任期中は避けたい、逃げたい、先送りしたい。そういう、切ないテーマ」
とした。そのうえで、
「負担なければ、給付なし。打ち出の小槌のように、どこかからお金がわいてくるわけではない」
「将来世代につけを回し、将来世代のポケットに手を突っ込んで、今の社会保障を支えるというやり方は、持続可能性がない」
と、現状の社会保障システムが破たんしつつあることを強調。「未来を搾取するやり方は、もう通用しない」と、増税に理解を求めた。
今回の法案の成立で、自民党が強く求めていた衆院解散へのハードルが、ひとつクリアされた形だ。だが、解散時期として合意した「近いうち」という言葉については、
「特定の時期を明示的に、具体的に示すことはふさわしくない。『近いうちに』という意味は、それ以上でもそれ以下でもない」
と、従来の見解を繰り返した。