野田佳彦首相が2012年8月8日、自民・公明との党首会談で、自公が消費増税関連法案に同意する代わりに、衆院の解散・総選挙を「近いうちに」実施することに合意した。どうとでもとれる言葉だが、ネットでは「近いうち」の意味を巡って論争が起きている。
これまでの報道をまとめると、野田首相は8日夜、国会内で谷垣禎一自民総と、公明党の山口那津男代表と会談。消費増税を柱にした社会保障・税一体改革関連法案を成立させた上で「近いうちに国民に信を問う」とした。
麻生元首相「社会常識だったら『近いうち』は2週間そこら」
これにより、一体改革関連法案は10日の参院特別委員会と本会議で採決され、成立する見通しとなった。
元々、民主は「近い将来」に、と自公に伝えていたが、自民から「『近い将来』がいつを指すのか分からない」と再回答を求められ、「近いうち」に落ち着いた経緯がある。「近い将来」に比べると、ぐっと時期が近くなった気もする一方で、野田首相は具体的な時期は明らかにしなかった。
メディアでは早ければ今国会期末の9月8日に解散し、10月に総選挙という説も出ている。だが、産経新聞によると民主党の閣僚経験者から「来年1月の通常国会冒頭だって近いうちといえば近いうちだ」という声もあったという。支持率が落ち続けている民主党としては、選挙は先延ばしにしたい。「近いうち」というのはどうとでも解釈できる便利な言葉と考えているのだろう。
一方で、自民党の麻生太郎元首相は9日、派閥の例会で「『近いうち』を履行してもらうため、われわれは選挙に追い込んでいかなければならない」と発言。さらに「『近いうち』にというのは、普通だったら2週間そこらが普通だ。それが社会常識というものだ」と話した。政界入りする前は一般企業の社長を務めていたこともある麻生氏らしい見方だ。