女子大学・高校生のセックス体験率が初めて低下に転じたと、日本性教育協会が調査結果を明らかにした。協会では、女子の「草食化」も進んでいるのではないかとみて、分析を進めている。
「草食男子」と対をなすものとして、「肉食女子」ということが一時期盛んに言われた。ところが、そうした傾向の妥当性について疑問の余地が出てきた。
女子大学・高校生がそれぞれ14、6ポイント減
日本性教育協会では、1974年から6年ごとに青少年の性行動を調査している。今回は、2011年10月から12年2月に全国11地点で中学、高校、大学生約7700人を対象に調査を行ったところ、女子大学生の性交経験率が6年前の前回より14ポイント減って47%になった。また、女子高校生の場合も、前回より6ポイント減って24%だった。調査開始から経験率は上昇を続けており、今回初めて低下したことになる。
男子大学生・高校生は、前々回の1999年から低下傾向にあり、今回は、大学生が7ポイント減の54%、高校生が12ポイント減の15%とさらに低下している。一方、中学生の経験率は、女子が1ポイント増の5%、男子が横ばいの4%とあまり変わらなかった。
また、キスの経験率は、男女とも大学・高校生で、今回初めて低下に転じている。
女子の性交経験率低下について、日本性教育協会の事務局では、「草食化」が進んでいる現れではないかとみている。分析結果については、性行動調査委員会委員長の片瀬一男東北学院大教授が、取材に対し、12年秋にも概略を報道発表し、13年3月に最終報告書をまとめたい考えを明らかにした。なお、調査結果そのものについては、事務局では、12年8月16日にホームページなどで報告するとしている。
女子の草食化については、ネット上で、様々な意見が上がっている。
男子の率が減った影響、などと様々な見方
性交経験率が女子も低下に転じたことについて、草食化の可能性は否定できないものの、「男女の行為なんだから両方減るのは当たり前」と冷静にみる向きもある。
一方で、(1)女子も男子と同様に、ゲームやアニメなどを楽しむインドア派が増えている(2)青少年健全育成条例での摘発を恐れて(3)ネット普及によるマスコミの影響力低下(4)見栄を張るのはカッコ悪いと正直に回答するようになった、などといった指摘も出ていた。
女子のセックス離れを示す他のデータとしては、日本家族計画協会で2010年9月に行った調査で、16~19歳女性がセックスに「関心がない」「嫌悪している」と答えた割合が、2年前より11.6ポイント増えて58.5%になったことがある。こうした傾向について、地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター長で医師の岩室紳也さんは、週刊ダイヤモンド12年3月24日号の記事で、「今の若者は生身の人と付き合うことに伴うストレスを恐れ、ゲームなどのバーチャルにはまる。その結果、セックスを回避する人が増えているのだろう」とコメントしている。
産婦人科医で赤枝六本木診療所院長の赤枝恒雄さんは、J-CASTニュースの取材に対し、経済状況が悪く懐が寒いため、男子が女子をデートになかなか誘えないことがあるのではないかとみる。「セックスは1人ではできませんからね。その代わり、オナニーグッズが飛ぶように売れていると聞きます」
また、性感染症の怖さや妊娠リスクを訴え続けた結果、2001年ごろから10代の人工妊娠中絶が減少に転じ、それが性交経験率のデータにも現れてきたのではないかともしている。