中2男子生徒自殺を巡る対応が悪いと滋賀県大津市教委に非難のFAXが殺到したことに対し、市教委が被害届を出すことを検討していると一部で報じられ、ネット上で異論が相次いでいる。しかし、市教委では、警察に相談するだけの事情があるとしている。
「被害届検討」の一報が流れたのは、大阪・朝日放送(ABC)の2012年7月17日付関西ニュースだった。
「500枚以上届き、業務に支障」
それによると、先週から7月16日まで、教育長名などを挙げて市教委の対応を非難するFAXが500枚以上届いた。その結果、市教委の回線がふさがれ、業務に支障が出たとして、警察に相談しており、被害届を出すかどうかを検討しているという。
これがウェブニュースとしても流れると、ネット上で、とたんに怒りの声が渦巻いた。男子生徒の自殺が家庭内の問題でもあるかのように会見で答えたことが反感を呼んでいただけに、「改善に努めるのが仕事だろうに」「被害届とか何考えてんだ」「抗議も出来ないのかよ?」などと火に油を注いだような騒ぎになっている。
これに対し、市教委の教育総務課では、単に非難が相次いでいることを業務の支障と考えているわけではない、と説明する。
特定の一個人から一度に大量に
説明によると、ある特定の一個人だという大阪の男性から、一度に200~300枚もFAXが送りつけられてきたという。それも、市教委の対応について意見を言うばかりでなく、会見に出た幹部らの顔や容姿を罵倒するような酷い内容だったそうだ。脅迫まではいってないもののそれに近い内容もあったといい、市教委の教育総務課では、「本筋から離れた誹謗・中傷で、人権を無視するようなものでした」としている。
そこで、この男性に電話をして、「対応についての意見はお聞きするので、大量にFAXを送るのは止めてほしい」と要請し、一度警告した。しかし、さらに過熱する気配があったため、2012年7月16日になって警察に相談したとした。男性は、有限会社に所属しており、会社のFAXを使っていた。
ただ、朝日放送で報じられた効果もあってか、17日は夕方までにFAXは来なかったとした。警察に被害届を出す予定はないとしたが、もし警告する事態が続くなら検討すると言っている。