一部の高給取りと多数の低賃金社員が… サラリーマンの生涯賃金10年で9.6%も減

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   サラリーマンの生涯賃金がガタ減りしている。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、大学卒男子(標準労働者)の場合、定年まで勤めると、2009年には2億7580万円(退職金を除く)になったが、2000年には3億520万円、1990年には3億640万円と落ちた。約10年間で2940万円(9.6%減)も減ったことになる。

   生涯賃金の減少は、終身雇用制度が崩壊して、アルバイトやパート、派遣社員のような非正規雇用が増えたことや雇用の流動化が背景にあるとされる。

大企業と中小企業とで「1億円」の差がある

   かつて、サラリーマンの生涯賃金は、月給やボーナス、退職金も含めて、およそ「3億円」といわれていた。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をベースに労働政策研究・研修機構(JILPT)がまとめた「ユースフル労働統計加工指標集2012」によれば、2009年の生涯賃金でみた場合に、退職金を含めてようやく「3億円」に到達する水準となり、退職金を除けば3億円を切る水準にまで落ち込んだ。

   高専・短大卒、高卒、中卒と学歴が低くなれば、就業年数は長くなっても、賃金水準が低くなるため、結果として学歴が高いほど生涯賃金は上がる。

   もちろん、非正規労働者として勤める期間が長くなれば、「3億円」も遠のく。

   また、企業の規模が従業員1000人以上と100人に満たない企業とを比べた場合、大企業のほうが1億円ほど高くなる。

   こうした傾向に変化はないが、JILPTの堀春彦研究員は「2000年以降、とくに顕著なのがボーナスカットですね」と指摘する。生涯賃金の下落要因は企業の業績悪化による減給やボーナスカットが大きい。

   「景気悪化といえばそうなのでしょうが、企業業績が上がって、全体のパイが大きくならなければ賃金も上がりません」。

「成果主義」が賃金を押し下げている?

   それにしても、生涯賃金は10年前と比べて約1割、2940万円も減っている。とくに2008年と09年、つまりリーマン・ショック前後の落ち込みは激しい。08年は2億9290万円だったが、09年は2億7580万円。株価急落に消費低迷と、企業の業績悪化が原因とはいえ、わずか1年の違いで1710万円もの差がある。

   前出のJILPT、堀研究員は生涯賃金が減っている原因が、企業の業績悪化のほかに、「グローバル化や成果主義の導入があると推測できる」とも説明する。

   実際にサラリーマンの給料は、年齢とともに賃金が上昇することが少なくなり、「賃金カーブ」のフラット化が進んでいる。年齢給や勤続手当、家族手当や住宅手当などの福利厚生関連の「手当て」が廃止されたことも、給料の上昇を抑えるのにひと役買った。

   堀研究員によると、「近年は賃金分布が大きくばらつくようになってきました。つまり、賃金格差が大きくなって、しかも年齢が上がっていくほど賃金格差も広がっています」という。

   ごく一部の高給取りの社員と、低賃金で働く多くの社員で会社が構成されていて、全体の生涯賃金の平均も押し下げているということらしい。

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