消費増税法案の採決で、身内の民主党から57人もの「造反」を招いた野田佳彦首相。事実上の党分裂状態を招き、支持率もさらに低下し、評判は芳しくないが、海外では、野田首相の一貫した姿勢を評価するメディアもある。
自身の当落や党の生き残りに全く関心なし
英エコノミスト誌(電子版)は2012年6月16日掲載の記事で、野田首相の人物像に迫っている。冒頭から、過去6人の首相のうち、多くは二世、三世議員としての「特権」を受けていた点を指摘。これに対して野田首相が2011年9月に「予想に反して首相の座を射止めた」後、「想像以上の指導力を発揮している」と評価する。さらに「ここ最近の首相経験者と比べて、より多くの実績を残すかもしれない」と期待を込めている。
記事によると、消費増税法案をめぐって野田首相は、党内のマニフェスト堅持派から「裏切り者」と見られている。それでも自民党、公明党の協力を取り付けて消費増税を推し進める首相は、年金や子ども手当、低所得者支援といった「実行不可能なマニフェスト」の撤回に動いていると続ける。さらに関西電力大飯原発3号機の再稼働という、「自身の支持を落とす」決断を下した。
最終的に首相は、社会保障と税の一体改革を成し遂げた後に解散総選挙に持ち込むかもしれないと予測。「現状では選挙に負けるだろう」としながらも、「野田氏は自身の当落、またおそらく党の生き残りについても全く関心を払っていないように見える。だからこそ最大限の力を発揮しているのだ」と締めくくった。増税や原発再稼働という「不人気政策」を、批判を恐れずに進められるのは「民主党が下野しても、自分が落選しても構わない」と腹をくくったという解釈のようだ。
エコノミスト誌は2012年1月28日にも、野田首相について好意的とも思える記事を掲載している。首相と橋下徹・大阪市長の2人について、「日本では勇敢な政治の指導者がひとりでも見つかるのは珍しい。2人となればなおさらだ」と評したのだ。当時、消費増税法案の国会提出に言及していた首相について「政治生命をかけて増税に取り組んでいる」とした。