不動産関連事業を手がけるゼネラルファンデックスは2012年7月2日から、東京・御茶ノ水などで「有料喫煙所」をオープンする。
路上や公園、最近はオフィスビルなどでも禁煙が厳しく制限されている東京で、初めて「有料喫煙所」が設置される。
駅などにある有料の公衆トイレを使用するように、料金を払って店内に入れば、そこはたばこが吸える「空間」だ。
3年後には都内に36か店を展開
有料喫煙所は、その名も「いっぷく」。文字どおり、たばこを「ちょっと一服したい」人にとっては便利なスペースだ。
ゼネラルファンデックスは7月に、「いっぷく」御茶ノ水店、淡路町店、神田今川橋店を同時にオープンする。オフィス街では、喫煙のため喫茶店に立ち寄るビジネスパーソンが少なくないことに着目、1回50円なら割安感を打ち出せると判断した。
電子マネーの「PASMO」を入口のゲートにかざして入店。使用料も「PASMO」で支払う仕組みで、1回50円。またチケット制もあり、100円で1日分、500円で1週間分、1800円で1か月分のチケットを買うと、どこの店でもその期間は使い放題になる。
また未成人の利用防止のため、チケットの購入時に成人識別を表示したタッチパネルで確認する。今後、同じ交通系電子マネーの「Suica」の使用も検討している。
店内は、平均約15坪(約50平方メートル)。たばこの臭いが充満しないように芳香剤や空気清浄機を備え付け、入口近くにはアロマを焚いて、人が出入りしたときでもタバコの煙や臭いがなるべく外部に漏れないよう配慮している。
また、吸い殻を捨てるとそのまま水で消化して配管に流れる仕組みで、水と吸い殻をフィルターで分離し、水をろ過して循環させる。監視システムは綜合警備保障(ALSOK)と組んで、無人化を図った。
同社は都内で今後3年間に36か店を開設。「できるだけ店舗網を広げて集客力をあげることで収益力をつけていきたい」と語る。売り上げ目標は5年後に3億5000万円。
「受動喫煙を減らす環境づくり」に一石
喫煙者は年々減っている。日本たばこ産業(JT)の「2011年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は33.7%(前年比2.9%減)。これは、1965年以降のピーク時(1966年)の83.7%と比較すると、43年間で50ポイント減少したことになる。これに対し、成人女性の平均喫煙率は10.6%(前年比1.5%減)だ。
そういった中で、2010年10月からのタバコ増税以降、喫煙者数は激減。さすがに1箱110円の値上げの影響は大きかったようで、JTの調べでは11年8月時点の喫煙者人口は2279万人で、前年に比べて216万人も減った。
ゼネラルファンデックスは「喫煙者のためというよりも、受動喫煙させない環境をつくりたいと考えました。喫煙者をただ締め出してマナーが悪くなるのであれば、受動喫煙の被害は減らないでしょう。それであれば、と場所を設けました」と語る。