やっぱり暗かった「LED電球」 ワット表示の3分の1以下も

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   寿命が長く節電に役立つと人気の発光ダイオード(LED)照明。一部には以前から「同じ明るさでも、白熱電球に比べて暗いのではないか」との指摘が少なくなかったが、やはり「暗かった」ことがわかった。

   消費者庁は2012年6月14日、LED電球を販売する12社に、景品表示法に基づいて再発防止を求める措置命令を発した。「60ワット相当の明るさ」などと表示していたにもかかわらず、実際には3分の1以下の明るさの電球もあった。

これからは「ルーメンを参考にして」と消費者庁

   一般に、白熱電球がほぼ全方向へ光が放射するのに対して、LED電球は下方向には光が届きやすいが、上方向や水平方向への光の広がりが弱い形状のものが多い。

   これまでも「同じ60ワットの電球を買ったのに、LED電球のほうが白熱電球よりも暗い」といった、消費者の不満の声が少なくなかった。

   国民生活センターに寄せられた電球類(白熱電球などを含む)に関する苦情や相談件数は、2008年が114件、09年度が138件だったのに対して、LED電球が普及し始めた10年度には2倍近い262件になり、11年度は310件と急激に増えている。

   今回調査した消費者庁は、「LED電球を買い求める人は、白熱電球で60ワットのものを使っていれば、LED電球でも60ワット相当の電球を買っていきます」とし、消費者側にとってはそこに「落とし穴」があったと指摘する。

   消費者庁は、「これからLED電球を買うときには、ワット数ではなく、『ルーメン(lm)』を参考にしてほしい」と強く訴える。

   日本工業規格(JIS規格)において、白熱電球の60ワット(W)形の全光束(光源からすべての方向に発される光の明るさの尺度)は810ルーメン(lm)と規定している。

   しかし、消費者庁の調査では、違反のあった12社が09年9月以降に販売した54種類のLED電球については、「40W相当」「60W相当の明るさ」などの表示があったが、JIS規格の白熱電球の基準を準用すると、規定の約30%から約85%の明るさにしか達していなかった。

   たとえば、エディオンのLED電球のパッケージには「60W形、400lm」と表示されている。実際の調査でもその表示どおりの明るさがあったが、810lmに達していなかったのでJIS規格に照らせば違反になる。

   「たしかにパッケージの表示そのものは間違えではありませんが、400lmの明るさでは実質30W形の電球です。『60W形』の表示は誤りになります」と説明。「消費者が810lmの明るさがあると、誤認する恐れがある」と判断した。

政府も推奨する「LED電球」

   全国4000店の家電量販店を調査しているGfKジャパンによると、白熱電球とLED電球は2011年6月と7月に一時、LED電球が販売数量で白熱電球を上回る「逆転」現象が起こったものの、その後再び白熱電球が伸びて、2012年5月時点の構成比では白熱電球が49%、LED電球が35%、電球型蛍光管16%になっている。

   とはいえ、すでに東芝ライテックや三菱電機オスラムなどは一般用の白熱電球の生産を終了。パナソニックも12年度中としていた白熱電球の生産終了を年内に前倒しする。一方で、家電量販店のプライベートブランドが1個1000円を切るような安価で参入していることで、消費者にとってLED電球は購入しやすくなってきた。

   政府は6月12日、細野豪志環境相が記者会見で白熱電球の販売自粛を求める考えを示した。その後、一部の家電量販店などから「消費者のニーズはまだある」との反発もあって、「LED電球も含めた省エネ効率の高い照明製品への普及促進」と、ややトーダウンしたが、節約志向の高まりや価格の低下が進めばLED電球への移行はおのずと進んでいく。

   政府によると、仮に現在ある電球がすべて省エネ型照明に替わった場合、140万世帯分の需要にあたる年50億キロワット時の節約効果がある、と試算している。

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