お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんの母親の生活保護受給問題に関連し、新たなお笑い芸人の生活保護受給者が明らかになった。
河本さんと同じ吉本興業の「キングコング」梶原雄太さんだ。スポーツ紙の取材に対し、異例の「受給告白」をした。
「返還すべきだとご指摘があればきちんと考える」
2012年5月29日付のスポーツニッポンで、梶原さんは「誤解をされたくないし、隠すこともないので自分から全てお話ししたい」として、母親が11年3月から生活保護を受給していることを告白した。
母親は梶原さんの祖母の介護をしながら弁当店で働いていたが、その会社が倒産して収入がなくなった上、足を骨折して年齢的にも働き口がなくなった。福祉事務所で相談した結果、生活保護を受給したほうがいいとアドバイスされ、梶原さんら親族の経済状況の申告書類を提出し、受給が決まったという。当初は毎月11万6000円受給していたが、祖母が12月に亡くなった後に母親はパートを始め毎月4万円の収入を得るようになり、受給額は5万円に減額された。これまでの受給額の合計は約140万円だ。
梶原さんは02年11月、大阪市内に2千数百万円のマンションを購入し母親にプレゼントしていた。それ以来、ローンと共益費で毎月40数万円を負担していて、母親は「雄太にはこれ以上迷惑を掛けられない」と思っていたようだ。今年8月にローンを完済したら受給を打ち切ることにしていたが、河本さんの問題が明るみになり、母親は「このままもらい続けると誤解されかねない」とし、梶原さんも母親の精神面が心配ということで5月で打ち切ることを決断した。8月まで受給される予定だった計15万円は吉本興業から借りるという。
これまでに受給してきた保護費については「僕は生活保護に詳しいわけではないし、今急に聞かれても考える余裕もなくて、正直どうすればいいのか分かりません。ただ、母親が一時的とはいえ本当に困窮した中、福祉事務所さんの判断で援助していただいたものなので…」と現時点では返還を考えていないが、「専門の方々などから返還すべきだとご指摘があれば、きちんと考えたい」とも話している。
「扶養義務を果たさないのは道義的に問題では」
5月29日放送の「ひるおび!」(TBS系)ではこの問題について大きく取り上げた。経済ジャーナリストの荻原博子氏は「お母さんにマンションを買ってあげてそのローンなど月40~50万円払っていたというので、梶原さんがお母さんに対して何かできなかったという状況ではないと思う。そのマンションを担保にお金を借りてもいいし、とりあえず繰り上げ返済をして、今までマンションなどに払っていた40~50万円をお母さんに仕送りしてあげればお母さんも十分豊かな生活ができるのではないか」、国際弁護士の八代英輝氏は「高額かわからないけどマンションに住みながら生活保護を受けるっていうのは社会の目から見てそぐわないですよね」、ジャーナリストの大谷昭宏氏は「社会常識として、40万円のローンを組んでいる一方で家賃がかかってないから、生活保護を受けてもいいんだということは基準から言ってありえない」と話すなど、厳しい論調だった。
梶原さんの母親は本当に生活保護が必要だったのだろうか、また受給を回避する手立てはなかったのだろうか。弁護士の紀藤正樹氏に話を聞いたところ、生活保護は柔軟性がなく、受給者が緊急で援助を必要としている場合は支給しなければならないので、本来は扶養義務者が面倒を見るべきでも親が至急の援助を要していれば支給されるのは責められないとした。その上で、「梶原さんの詳しい資産や収入がわからないので何とも言えないが、扶養義務を果たさず、母親に生活保護を受給させるのは芸能人としては道義的に問題があるのでは」と話した。マンションを売却するなどほかに手があったのでは、という疑問には「価格が下落している可能性があるので売却は難しいかもしれない」とのことだった。