格安運賃で業績を伸ばすスカイマークに4か月間に6件もトラブルが発生し、国土交通省は2012年5月22日、同社を厳重注意した。
いずれも航空法違反の疑いがあり、自動操縦の設定を間違えて誤ったルートを飛行したり、指示とは違う滑走路に着陸したりするなど、安全上の問題に直結するものだ。同社は10年にも業務改善勧告を受けているが、国交省は「対策の効果が十分でない面がある」と怒り心頭だ。
経路入力終わらせずに出発
トラブルの頻発を受けて国交省が5月14日から16日にかけて立ち入り検査を行ったところ、「運航乗務員(パイロット)による基本操作の不徹底及び基準、規定等を遵守する意識の欠如」「安全統括管理者を中心とする安全管理体制の不備」「社内の意思疎通が不十分」といった実態が明らかになったとして、厳重注意を行った。
国交省の航空局安全部航空事業安全室によると、問題とされているのは、12年2月から5月に起こったトラブル6件だ。
1件目が、2月25日の那覇発宮古行きのBC547便。宮古空港の滑走路が視界に入るまでは「最低降下高度」として定められた540フィート(約165メートル)で飛ばなければならなかったが、404フィート(123メートル)まで降下した。対地接近警報装置と呼ばれる地面への異常接近を知らせる装置が作動したため、パイロットが高度を上昇させて事なきを得た。本来ならば自動操縦装置に「降下の際、しばらく540フィートで水平飛行する」ことを設定する必要があったが、この設定が抜け落ちていた。
2件目が、翌2月26日に成田発福岡行のBC803便が離陸後に起こしたトラブル。パイロットは、事前に飛行管理システム(FMS、Flight Management System)に経路を事前に入力する必要があったが、入力が完了しないまま出発。本来の経路では、離陸後に右に旋回することになっていたが、入力不備が原因で旋回のタイミングが遅れた。管制官の指摘を受けて経路を修正した。
3件目も同様のトラブルだ。3月27日の新千歳発成田行きのBC874便では、FMSに経路が正しく設定されておらず、やはり管制官の指摘で経路を修正している。