韓国の「2012 麗水(ヨス)世界博覧会」が2012年5月12日に開幕して1週間が過ぎたが、早くも苦戦を強いられている。組織委員会によると、開幕1週間の来場者数は約20万人で、当初の予想を下回っているようだ。
麗水EXPOは、「生きている海、息づく沿岸」と題し、人間と海との共存を全世界の人々と一緒に模索していくことをテーマにした。「規模は違うが、2010年の上海万博も開幕後1か月は低調だった。もともと家族連れをターゲットにしていたこともあり、この夏に期待したい」と、関係者らは口を揃える。
前売り券は目標の半分、予想入場者数は10%にとどまる
韓国の聯合ニュース(日本語版)などによると、5月12日に開幕した麗水EXPOの入場者数は、初日が3万6000人、13日に2万3000人と、予想していた入場者数の10%程度にとどまった。入場券前売り規模も11日現在145万枚で、開幕前の目標だった300万枚の半分を下回っている。
組織委員会は当初、平日5万~10万人、土日曜日には15万人、連休日には最大30万人が訪れると予想。開催期間中には延べ1082万人が訪れると見込んでいたが、開幕効果を期待していた12~13日の入場者数が平日の予想値に及ばず、早くも予想の下方修正の必要性が出てきた、と囁かれている。
観光客の誘致が大きな課題になってきた。
麗水EXPOは美しい海と景観と、韓国の最先端技術などが結集した「生きた海洋実験室」が売りものだ。76ものパビリオンでは、先端のIT技術とコンテンツが結びついたアトラクションや展示物が用意されている。
「目玉」といえる4つの特設施設のうち、韓国最大規模のアクアリウムや、廃サイロ(セメントなどの原材料を貯めておくタンク)を活用してつくったパイプオルガン形態の「スカイタワー」、芸術とメディアが調和した「エキスポギャラリー」は観光客の目を引き、終日にぎわっている。
海の上に浮かんでいる海上舞台で、きらびやかな照明演出をみせてくれる「BIG‐O(ビッグオー)」ではマルチメディアショーが観られるが、「テコ入れ」で韓流ブームを率いるK‐POPスターが競演するコンサートなどが繰り広げられることになった。SUPER JUNIOR、CNBLUEなど多数の出演が予定され、日本をはじめとする外国人観光客を増やそうとしている。
日本人にあまり知られていない「全羅南道」の都市
エイチ・アイ・エスや阪急交通社など、国内の旅行関係者の多くは「麗水EXPO」の不調について、「認知度の低さ」「PR不足」にあるとみているようだ。旅行大手のジェイティービーは「(韓国ツアーは)万博だけではないので多い少ないはいえませんが、反応は入ってきています」と話している。
ソウルや釜山、済州島などと違って、都市名が「麗水」と聞きなれないこともある。麗水市は全羅南道の東南部の沿岸、本土から大きく突き出した半島に位置する。あまり知られていないエリアだけに、「アクセスやホテルなどの受け入れ態勢への不安があって、大きなツアーを組むのに慎重になっていることはある」(ある旅行代理店)と漏らす。
その代わり、麗水市の南は多島海に面し、市域には300余りの島が点在。周辺は海上国立公園に指定されていて、自然が織りなす美しさは「一見の価値あり」と評されている。