11代目となる新型カローラが発売された。誰もが知るベストセラーカーの代名詞だが、年間車名別ランキングで最後にトップをとった2007年から早くも5年が過ぎた。ハイブリッド車(HV)やコンパクトカー全盛の今、発売から46年目のカローラは生き残ることができるだろうか。
カローラはトヨタを象徴する大衆車だ。1966年発売の初代はエンジン排気量を急遽1100ccに増やし、ライバルの日産サニーに対して「プラス100ccの余裕」を謳った。
33年間にわたり国内ベストセラーカーの座守る
トヨタのいわゆる「80点主義」はカローラが原点と言われる。マーケットニーズに対して必要十分な性能、派手さはないが好ましいデザインにまとめあげ、2002年、ホンダのフィットに敗れるまで33年間にわたって国内ベストセラーカーの座を守った。
その後もトップの座を取り返すなど、王者の意地を見せたカローラだったが、国内新車市場の縮小や、ミニバン、コンパクトカー、軽自動車の台頭に代表されるニーズの多様化には勝てなかった。最終的にカローラからベストセラーの座を奪ったのは皮肉にも同じトヨタのプリウスだった。2010年に31万5千台を売り、カローラの従来記録を塗り替えた。
さて、カローラ復活のカギを握るHVバージョンの設定だが、開発の早い段階で見送られた。全国のカローラ店はトヨタに対し強く求めたが答えはNO。トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツと4チャンネルを抱えるトヨタは量販車についてはHVを全系列併売車種として投入する方針を貫いており、カローラ店専売のカローラにHVを搭載する可能性はほとんどなかった。
大型化を続けてきた歴史に別れを告げる
その代わりに選ばれたのはヴィッツなどと同じBプラットフォーム(車台)を使って、コンパクトなサイズに仕上げること。旧型比で全長は5~6センチメートル短くなった。すでに旧型から、幅広な海外向けと5ナンバーサイズの国内向けで造りを変えていたが、新型は完全に国内のダウンサイジング志向を意識した商品に生まれ変わった。
ディーラーは「これまでのカローラが立派すぎ、原点を見失っていたのかもしれない」と、新型の拡販にみずからを奮い立たせるかのように話す。実際には「HVがこれだけ売れている中では相当厳しい」というのが本音だ。
また、ユーザーの平均年齢は60歳を超えており、先細りも心配材料になっている。ただ、大型化を続けてきた歴史に別れを告げ、セダンのアクシオに1300ccを復活させた方向性にはディーラーも賛成している。カーテンシールドを含む6エアバッグ、オートマチックハイビーム、ドライバー視野の拡大など安全性も高められている。「使い勝手のいいコンパクトな車としてシニア層以外にも浸透できれば」とディーラーは期待をかけている。