どっさり届いた山菜、「リスクを承知して食べて楽しむ」【福島・いわき発】

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   夏井川渓谷の無量庵の庭に、春の食菌・アミガサタケ(=写真)が1個出現した。同じころ、被災者のための交流スペース「ぶらっと」(イトーヨーカドー平店2階)に、山菜がどっさり届いた。原発事故のためにいわき市で仮暮らしをしている大熊町の男性が、山から採ってきたのだという。


   キノコは水で洗い、ゆでこぼせば放射線量が下がる。去年暮れのいわきキノコ同好会の総会で得た情報だ。それにならってアミガサタケをしばらく水につけ、油でいためて食べた。こりこりしてうまかった。


   山菜は、男性が住んでいる好間の近辺で採ったものだろう。タラの芽、コシアブラ、コゴミ(クサソテツ)、ワラビ、そして好間川のクレソン。2回目に届いたのは「ぶらっと」が定休になる前日で、ほぼ独占的に譲り受けた。


   昨年の梅雨どき、無量庵の庭からマメダンゴ(ツチグリ幼菌)を掘って食べた話を書いたら、何度か顔を合わせたことのある徳島大学歯学部の先生から「キノコもおいしく食べられるお年ですから」と半分あきれたコメントをちょうだいした。川前出身の人からはチチタケの線量を知らされた。セシウム134、同137が計3490ベクレル。


   測定器でシイタケや山菜の線量を測った友人が来て言うには、葉物は大丈夫、シイタケは数値が高かった。キノコはベクレルが4ケタになると覚悟しておくべきなのかもしれない。


   で、発泡スチロールの箱にいっぱい入った山菜だ。てんぷらやおひたしにしても、夫婦2人では食べきれない。ご近所におすそ分けした。食べないでストレスをためこむより、リスクを承知して食べて楽しむ――人には勧められないが、ときには決まりを越えないと、と自分に言い聞かせながら箸をうごかした。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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