2ちゃん管理会社は海外の「ペーパー」報道 登記簿住所には「別会社」が入居していた

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   インターネット掲示板「2ちゃんねる」の管理会社とされるシンガポール企業が実態のない「ペーパーカンパニー」だったと、読売新聞が現地取材を基に報じた。

   登記簿上の住所で営業していたのは別の会社だ。シンガポールでの会社登録や税務処理、事務を代行するサービスで、建物の看板もこの会社のものが掲げられている。

ドメイン情報に記載の人物は「元CEO」か

「本当の管理者」はいったい誰
「本当の管理者」はいったい誰

   現在「2ちゃんねる」の管理会社として登録されているのは、シンガポールにある「パケットモンスター」という会社だ。元管理人の西村博之氏が2009年1月2日のブログで「譲渡完了しました」とつづり、2ちゃんねるにも基本情報としてその旨記載されている。

   ただ、公開されているドメイン情報を確認すると、やや不可解な点も見られる。例えば登録者の住所を見ると、なぜか番地が書かれていない。連絡先の欄には電話番号と見られる数字の羅列があるが、シンガポールの企業のはずなのに、米国やカナダの国番号を示す「+1」が最初にきていて不自然さを覚える。

   読売新聞2012年3月27日付の記事には、記者が「パケットモンスター」の登記簿上の本社の場所を突き止め、実際に訪ねた様子が書かれている。そこで見つけたのは、会社の連絡代行サービスを行う「リクビン」という企業で、受付の女性は「パケット社の事務所はここだが、社員はひとりもいない」と答えたとしている。さらにパケット社の唯一の「取締役」にも取材をかけると、「頼まれて役員になっただけ」と告白、2ちゃんねるの掲示板の存在も知らないと話したという。

   パケット社とリクビン社を結ぶキーワードが、パケット社のドメイン情報に記載されていた。「RAGINI DHANVANTRAY」という人名で、リクビン社の最高経営責任者(CEO)を務めていた人物と同姓同名だ。ただしリクビン社のウェブサイトに現在記載されている役員名を見ると、この名前は見当たらない。既に退社している可能性もある。

   実はDHANVANTRAY氏は2010年3月、シンガポールの会社法違反で総額2万1000シンガポールドル(約138万円)の支払いを命じられている。

「警察は本気」「もうだめかも」の声も

   シンガポール会計企業規制庁(ACRA)の2010年3月16日の発表によるとDHANVANTRAY氏は、海外の5つの顧客企業からの要請で各社の現地法人代表を名乗った。同国会社法では、どの会社もシンガポール在住の代表者を最低1人は置かねばならないと定めているからだ。一方で5企業の代表者は誰もシンガポールに住んでいなかった。各社の登記簿上の住所は、「リクビン社」の本社と同じものとした。

   2008年11月14日、これら海外5社の代表者の住所をリクビン社が登録している事務所の住所に変更した。しかしACRAが調査したところ、実際に5社の代表者が現地で住所変更をしていなかったことが判明、DHANVANTRAY氏がシンガポールで虚偽の居住登録を行い、会社法に抵触したとの判断を下した。

   これ自体は、2ちゃんねるの管理会社「パケット社」とは関係ない。パケット社の住所を見る限り、リクビン社の本社とは違っている。しかし読売の報道では、パケット社の登記簿上のビルに入っていたのはリクビン社で、業務を代行しているとなっていた。実際にグーグルの「ストリートビュー」を使ってパケット社の登記簿上の住所を入力すると、そこには「リクビンビル」と書かれた看板がかかった建物が写っていた。リクビン社が複数の事務所を構えていたとしてもなんら不思議はないが、そのひとつがパケット社と同じ住所というのはどういうことだろうか。

   パケット社に2ちゃんねるが譲渡された2009年の時点で、インターネット上では「どんな会社か」を突き止めようと、開示されている同社の登記簿を閲覧したり、リクビン社について調べたりする人が既にいた。そのためか今回の読売報道に接しても、ネット上では「3年前に出ていた話」「何をいまさら」との冷めた見方も少なくない。

   一方で2012年3月上旬、2ちゃんねるに覚せい剤の購入をそそのかす書き込みがあったにもかかわらず放置したとして、警視庁がサーバー管理会社などの家宅捜索を行ったと報じられた。それに続く「ペーパーカンパニー」騒ぎで、「警察は本気ということか」「もうだめかも分からんね」という声も出ている。

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