急増する「中高年」フリーター 企業に「歓迎されない」35歳以上

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   アルバイトやパートで生計を立てる「中高年フリーター」が目立ってきた。総務省の労働力調査によると、35~44歳のフリーターは2011年に、男女あわせて約50万人となり、過去最高になった。

   バブル崩壊に伴う就職氷河期といわれた1993年以降に、高校や大学を卒業してアルバイトなどを続けてきた人がそのまま年齢を重ねてきたものとみられている。

02年に比べて25万人も増加

   総務省統計局によると、2011年の35~44歳の「中高年フリーター」は、前年に比べて8万人、19%増えた(東日本大震災の被災地にあたる岩手、宮城、福島の3県を除く)。

   データを遡れる2002年は約25万人だったので倍増。35~44歳の世代に占めるフリーターの割合は、02年の1.6%から11年には2.8%も占めるようになった。

   ちなみに、政府のいう、厳密な意味での「フリーター」は年齢15~34歳が対象。「男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者」で、「パート・アルバイトとして雇用されている」「非労働人口で、家事も通学もしていない人のうち、就業内定をしておらず、希望する仕事の形式がパート・アルバイトのいずれかに該当する」などと定義される。

   政府のいうフリーター(15~34歳)は、2003年の217万人をピークに減り続け、11年は176万人にまで減少していた。

   とはいえ、それでも就職できずにいる新卒者の厳しい「就職難」が続いていて、現在でも就職できずにやむなくフリーターとして暮らしをつなぐ若者はいる。

   こうした中で、フリーターも月日とともに年齢を重ねることになり、35歳以上の「中高年フリーター」も就職できぬまま、あるいは就職しないまま、政府が定義した「フリーター」の枠組みから「はみ出し」、しかもその人数と割合がさらに高まっているというわけだ。

   総務省も、「当時(02年)と比べて右肩上がりは言いすぎですが、上昇していることは間違いありません」と、「倍増」している状況を認めている。

人件費上がり、社員も気を遣う

   一方で企業の雇用状況をみると、人件費を抑えるために正社員を減らして、アルバイトやパート、契約者員などの非正規社員の割合を増やす傾向が続いている。

   企業側は「優秀な人材を確保したい」というが、それは新卒採用でのこと。雇用対策法の改正で、07年10月からは労働者の募集・採用時の「年齢制限」は禁止されたが、現実には35歳以上を採用しようという求人は少ない。

   「中高年フリーター」が歓迎されない理由には、企業が年齢に応じた給与を配慮するので人件費がかさんでしまうことや、若手の上司がいる場合など社内の人間関係に気を遣うこと、さらにはIT化の進展でアナログ時代のスキルが役に立たないことなどがある。それであれば、若手の新卒社員を一から育てたほうがよいというわけだ。

   総務省は「非正規雇用で働くようになった理由について、来年度から調査項目に加えようと考えています」としたうえで、「非正規雇用で働く人の中には、正社員で働いていながらいったん退職して、再就職できずにいる人も含まれています」と説明する。

   転職の失敗も少なからず影響しているとみられる。

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