大人気マンガ「ハヤテのごとく!」の作者・畑健二郎さんがとんだ災難に遭ってしまった。ある人物が「ツイッター」にあらぬ噂を立て攻撃してきたのだ。
ファン達はこうした行為は許せないと、その人物の「ツイッター」にアクセスし抗議をしたが、その人物の「ツイッター」内は広告だらけだった。専門家は「ツイッター」で稼ごうとする「タダ乗り炎上マーケティング」ではないかと指摘している。
「すみませんが、ちょっと意味が分かりません……」
マンガ「ハヤテのごとく!」は「週刊少年サンデー」に連載中で、昨年は映画化もされた。最新刊の2012年15号では、莫大な借金を抱えるだけでなく、日々災難が降りかかる主人公の「綾崎ハヤテ」が、アパートの住人全員に焼き肉をご馳走しなければならない展開になる。ハヤテは貧しいため、一人100円程度の肉で済ます予定だったが、アパート住民は高級焼き肉店に行くものと勘違いして、次週に続くことになった。
すると12年3月15日に畑さんのツイッターに
「在日コリアンだかといって、焼肉をネタにした漫画で宣伝するのは止めて欲しい」
などという内容の抗議が来た。畑さんは身に覚えが無く驚いた様子で
「すみませんが、ちょっと意味が分かりません……」
と返した。
このやり取りを見たファンたちは畑さんに対し、意味不明なツイートに対して反応するのは止めたほうがいい、と忠告。畑さんは、スルーする方が危険だと感じるツイートもあるため、相手にしてしまった、とし
「妄想の中だけで何かを決めつける人がいて、何かと戦う人が、世の中に入るという事ですな。そういう人が、いつか反省してくれるとありがたいですなぁ」
とつぶやいた。
この人物の「ツイッター」には抗議が殺到し「炎上」状態になり、畑さんやファンに対して引き続き汚い言葉を吐き続け「炎上」が加速したあと
「家族に危害が加えられると危ないので、ブログとこちらのツイッターは当分放置状態にする」
として全文章を削除した。
行き着いた犯人の「ツイッター」は広告ばかりだった
いったい誰が何の目的でやっているのか、という詮索が始まったが、畑さんだけでなく、数々の有名人に「ツイッター」で攻撃を仕掛けていることがわかった。ある漫画家には「しょうがうせいにしては絵が上手だね!!」。有名漫画家のアシスタントには「脊髄あるの?(笑)だからお前はいつまでたっても駄目なんだ!」などとツイートしている。
単に、過激なことを書き込んで注目を集める「荒らし」や「愉快犯」というだけではないようだ、とネットで騒ぎになった。それは、この人物の「ツイッター」のつぶやきには、広告へのリンクが大量に存在していたためだ。
「無理やり絡んだ背景にはこんなカラクリがあったのか」
などとネットの掲示板で感想を述べる人もいる。
ITジャーナリストの井上トシユキさんによれば、「ツイッターやブログで稼げる」といった謳い文句を真に受けセミナーに参加したり、広告収入が目的のサイトを作る人が増えているという。
そんな人たちが高収入を得る一つの方法として、サイトに張ったアフェリエイト広告や、ブログやツイッターに置いた広告主会社のアドレスを訪問者にクリックしてもらう必要がある。アクセス数の多いサイトほどワンクリックで貰える単価が高くなるため、最初に考えなければならないのは、どうしたらサイトのアクセス数を増やすことができるか、なのだそうだ。
今回の畑さんの一件では「タダ乗り炎上マーケティング」の可能性が高いと言う。有名人のサイトに攻撃を仕掛けて注目を集め、自分のサイトに閲覧者を引っ張る手法だ。今回の場合はその「罠」に畑さん自身が引っかかり、騒動になってしまった。
「おそらく、これまでいい成果が得られずに色々考えて、今話題の『在日認定』で勝負してみたのでしょう。しかしインパクトが強すぎて、自身のツイッターを放棄することになってしまったようです」
と井上さんは分析している。これからも「タダ乗り炎上マーケティング」のようなものは起きることが予想され、有名人はスルーするのが懸命だそうだ。