震災で福島県の避難区域内で餓死した疑いの強い人が少なくとも5人いると、NHKが報じた。
国会などでも取り上げられてはいるが、関係者からは、その根拠に疑問の声も出ている。
「福島県の医師が判断した」
餓死について2011年5月から、国会で追及していたのは、自民党の森まさこ参院議員だ。
それによると、福島県のある医師から、被災地の南相馬市などで2011年3月下旬から4月上旬にかけて、12人が餓死したとの情報提供が森氏にあった。
しかし、南相馬市の市民課では、震災後に「衰弱死」した人が少なくとも7人いるものの、これが餓死に当たるかは分からず、厚労省でも餓死は聞いていないとしていた。
ところが、NHKは12年3月5日夕のニュースで、「餓死の疑い」をかなり断定的に報じた。それは、福島県内の自治体や警察などからの取材結果からだとした。原発から5キロのところで70代男性が自宅2階で亡くなっているのが見つかり、1階は津波被害を受けていたという。また、6キロのところでは、1人暮らしで足に持病のある60代女性が部屋のこたつの中で亡くなっていた。自宅に取り残されたまま、自力で避難できず、助けも求められなかったのではないかとしている。
ニュースでは、福島県の医師が、これらの人を餓死の疑いが強いと判断したとした。いずれもやせ細り、ほとんど食べ物や水をとっていないことがうかがえたのが理由だという。
また、日本法医学会が福島県内の津波被害の現場で見つかった遺体の死因を調べたとした。学会では、死因究明に問題点があり、そのあり方を検討しているとニュースで紹介している。