牛丼の代替メニューとして登場し、役割を終えたなどとして牛丼チェーンから消えた豚めし(豚丼)だったが、松屋フーズが期間限定ながら販売終了2ヶ月足らずでスピード復活させる。
味や内容は同じだが、値段は並盛でこれまでよりも40円高い330円に設定。牛丼の並盛280円よりも高くなる。どうして松屋は豚めしを復活させなければならなかったのか。
今年1月9日、メニューから消えたばかり
豚丼は2003年末のBSE(牛海綿状脳症)騒動で牛丼用の肉が不足したため、各チェーン店が苦肉の策で導入した。作り方は牛丼と同じで、タレに肉と玉ねぎを入れて煮込む。牛肉の輸入が再開された後も販売は続き、牛丼よりも豚丼が好きだという独自のファンも開拓していった。また、牛丼より価格が安いことも人気の一つだった。
しかし、「本業に徹する」などの理由から、「すき家」は09年4月23日で豚丼を廃止。「吉野家」も11年12月にやめ、焼いた豚肉を使った「焼味豚丼 十勝仕立て」を投入した。
松屋も12年1月9日でメニューから消した。理由は、1月16日から「牛めし」を並盛で40円安い280円に値下げするため注文が増加する。そうなると「豚めし」に手間が掛けられなくなる可能性が出てきた、という説明だった。
「豚めし」は「牛めし」に次ぐ2番目の人気なのだが、売り上げはかなりの差があり、本業に集中したいという考えだった。
ところが3月1日、松屋フーズは「豚めしの復活!!」をいきなり宣言した。3月8日から3月31日15時まで、期間も数量も限定とした。価格は税込みで並盛が330円、大盛りが430円で、廃止前よりそれぞれ40円高くなっている。
このスピード復活の背景についてはネット上でも様々な見方がある。1月の業績は、既存店ベースで客数は前年同月比で1.0%減、売り上げは0.7%減といずれもマイナスになった。2月は客数が同8.4%増、売り上げは同3.7%増と盛り返したが、これは値下げした上にさらに値下げキャンペーンを重ねた効果であり、
「キャンペーンのない日は、豚めしが作れなくなるほど忙しくなってはいない」
との見方も出ている。
牛丼より高い値段でも全然構わないファンたち
松屋フーズ広報に話を聞いてみると、「豚めし」の復活について、
「お客様から復活を望む声が多数寄せられまして、それにお答えするため期間限定ではありますが販売することに決まりました」
と説明する。売れ行きが好調ならば通常メニューに加える可能性もあるという。値段を40円上げたことについては、食材の値上がりを反映させたとしている。
「牛丼」ファンでも、「豚めし」の方が好きだったりする人もけっこういる。松屋が販売をやめると発表したときはネットでちょっとした騒動になり、食べおさめをしようという呼び掛けがあり、かなりの人が松屋に駆け込んだ。
今回の復活の発表はネット中を駆け回り、
「復活はやすぎるだろ! そんなに売上に響いたのか?」
というものや、「牛丼」よりも高くなっている、として
「値上げしたら意味ねぇんだよ。高ぇよ!」
という意見もあるのだが、高くなっても全然構わないとして
「豚めし復活おめでとうございます」
「松屋の豚めしが復活すると聞いて、オレの人生にも希望の光が見えてきました」
「私も豚めし好きだから食べに行きますよー」
などと歓迎するツイートが多数出ている。