野田内閣の支持率が「危険水域」に入りながら、最大野党の自民党には「取って代わる」迫力がまったく感じられない。
自民党内からは「谷垣総裁降ろし」の気配も出始め、「悲惨な現状」の民主党からすら自民党の不甲斐なさを哀れむような視線が向けられている。
分かりにくい「消費税戦略」
「今、自民党がいくら民主党の悪口言ったって、自民党に対する信頼は返ってこない」
こう指摘するのは、自民党の小泉進次郎・青年局長だ。2012年2月6日、熊本市であった街頭演説で話した。「自民党もだらしないじゃないか。そういう声が本当に多いんです」とも。
2月15日には、自民の中堅・若手らが谷垣禎一総裁と会い、自民の支持率低迷について相次いで苦言を呈した。16日には、森喜朗元首相から「なんであんなに(ポスターの谷垣氏の)顔が暗いのか」と皮肉られてしまった。
産経新聞は16日の配信記事で、「閉塞自民、中堅にも『谷垣降ろし』の動き」と報じた。
森氏が苛立っているのは、「ポスターの顔」に対してだけではない。谷垣氏が野田政権を衆院解散に追い込む「消費税戦略」が分かりにくいと以前から批判を続けているのだ。
谷垣氏は、「消費税増税には賛成だが、『マニフェスト違反』の民主党が消費増税を決めるのには反対だ」という、すっきりしない論法で攻めている。一方、森氏らは、消費税率引き上げ法案の成立に自民党が協力するかわりに解散する「話し合い解散」を主張してきた。
しかし、谷垣氏は2月20日の都内の講演でも、話し合い解散について、「最初からやるのは談合だ」「有権者をバカにした話になる」と慎重な考えを示した。党内の不協和音はしばらく続きそうだ。