学校の教師に対して無理難題を突きつける「モンスター・ペアレント」。その要求は止むどころか年々エスカレートしているようだ。
そうした中で多くの学校が対応に腐心しているが、福井市教育委員会が設置した「学校問題解決支援チーム」が訴訟沙汰になるのを水際で食い止めて成果を上げている。
「日が悪いから運動会の日程を変えてくれ」
「まずい!」「頼んでいない」「義務教育だろっ」と難癖をつけて給食費を払わない親がいることはよく知られているが、「遠足の写真に自分の子供が写っている枚数が少ないのはえこひいきだ」「日が悪いから運動会の日程を変えてくれ」「うちの子は塾通いで疲れているので、授業中は寝かせてほしい」「子どもが朝起きないので、先生が起こしに来てもらえないか」というような呆れた要求は、東京と比べると少ないものの、福井市内でも少なからずあるようだ。
どれも非常識で不条理な要求であると思えるが、こういった「注文」は実際に学校に寄せられたもの。福井市学校教育課は、「一人の保護者が何度も訴えてくるケースもあり、きちんとした件数を把握しているわけではありません」と話すが、教師がクレーム処理に追われて授業が停滞したり、学校行事が中止になったりして、正常な学校運営を阻害していることに変わりはない。
そんな「モンスター・ペアレント」に対して断固たる態度で臨もうと、福井市は2008年に教育委員会が学校問題解決支援チームを設置、少しずつ成果が現れているようだ。市は「保護者の要求によっては、教育現場での対応が困難なことがあります。問題が発生し、学校が対応に苦慮する状況には顧問弁護士に加わってもらい、学校にアドバイスします」と説明する。
これまで顧問弁護士が学校に法的なアドバイスを行ったケースは6件。問題がこじれて訴訟に発展することを想定していたが、実際に弁護士が仲裁に入ったケースはなく、「どれも学校側と保護者のあいだで解決しています」という。
福井市は「法的根拠を明確にして対応すること」が功を奏しているとみており、訴訟になる前に事態を解決している。