千葉県柏市などで結成しようとしたアイドルグループの名前が、放射能をイメージさせるものだったため、批判が相次ぐ騒ぎがあった。主宰者は、「1つでも明るいことをと、まじめな活動としてやるつもりだった」と説明するが…。
AKB48現象に伴い、全国各地でご当地アイドルグループ結成の動きが活発になっている。
放射能ホットスポットの地域イメージをアップしたい!
今回、批判の対象になったグループも、こうした動きの1つだった。
2012年1月16日からメンバー募集サイトを立ち上げるとともに、地域情報サイト「まいぷれ」でも、柏市のイベント情報欄に募集広告を掲載した。
それによると、柏市やその周辺では放射能汚染問題が深刻になっているが、もっとポジティブな面から声を上げようとご当地アイドルを考えた。そして、グループ名を次のようにしたというのだ。
「Hot☆Spots」
募集の告知では、「歌とダンスで、放射能ホットスポットの地域イメージをアップしたい!!」とうたっている。
応募資格は、千葉・東葛地区、東京都葛飾区などの10~22歳の女性とし、オーディションを2月28、29両日に行うとしていた。
当初は、いい反響もあったらしい。Hot☆Spots制作委員会を主宰している男性が、ツイッターで1月17日にこう漏らした。
「さっそく取材の話頂きました。協力者も続々増えてます」
ところが、生々しいグループ名などに批判も次々に集まるようになり、18日には弱音も漏らすように。
「こんなに賛否がわかれるとは…思っていましたけど、プレッシャーが半端ないです」
「わかり易く、バカになることにしました」
こうした事態を受けて、主宰者の男性は、ツイッターで2012年1月21日にこう釈明した。
「放射能は危険だと言う人。安全だと言う人。どちらもどちらをバカにする。お互いがもっと尊重しあえればいいのにと思う。だから僕がもっとわかり易く、バカになることにしました」
しかし、市の職員からも怒られるようになったという。31日になってアイドルグループ名を「Hop☆Steps」と変えたものの、農家や不動産業者にも嫌な思いをさせていると気づいた。柏市の放射線対策室に出向いて話を聞いた結果、オーディションを中止にすることを決めた。応募してきた女性には、2月2日までに謝罪メールを送ったという。
市の放射線対策室では、取材に対し、「こちらが止めさせることはできませんが、相談を求められて、見解を示しました。普通に判断すれば、決していいものではないと思います」と話す。
主宰者男性は、オーディション中止について取材にこう明かした。
「ツイッターで放射能を検索するとマイナスのことばかりで、1つでも明るいことをしたかった。僕としては、まじめな活動としてやるつもりでした。しかし、ストレートな表現で、喜ぶ人もいましたが、つらい人もいました。市もダメならやる意味がないと、引き下がることにしました」
募集は、1週間ちょっとで打ち切ったものの、女性から7、8人とけっこう来たという。
「普通の子たちで、放射能汚染問題について『私も力になりたいです』と前向きでしたよ。放射能イメージの名前などを使わず、街を元気にというテーマでやってみたらとの声もいただいており、ほとぼりがさめてから、アイドル企画をもう1回やるかもしれません」
(2月10日追記 当初掲載していた曲名は削除しました)