47都道府県のうち、1人あたりの県民所得が最も低いのは沖縄県だというのが、これまでの常識のようなものだった。ところが、このほど発表された09年度の各県の経済状況に関する統計によると、46位だった高知県が最下位に転落することが確実になった。何が起こったのか。
県ごとの経済力の指標として用いられることが多い
両県の順位が逆転したのは、各都道府県が郵送で調査票を集めたりして県内の経済活動について調べる「県民経済計算」の統計だ。そのうち、県民所得を人口で割った「1人あたりの県民所得」は、県ごとの経済力の指標として用いられることが多い。なお、この県民所得には企業所得が含まれているので、消費者や労働者の経済的豊かさを直接表すものではない。
内閣府が公表した08年度の1人あたりの県民所得を都道府県別に多い順に並べると、東京都、愛知県、静岡県、大阪府、滋賀県、千葉県といった具合で、いわゆる「太平洋ベルト」の東半分が上位を占めている。逆に、もっとも1人あたりの所得が低いのが沖縄県で、その次が高知県。特に沖縄県は1990年度以降、最下位が「定位置」だった。
だが、高知県が12年1月下旬に発表した09年度の統計では、これが覆ったのだ。発表によると、高知県の1人あたりの県民所得は前年度比2.0%(4万2000円)減の201万7000円。これに対して、沖縄県の県民所得は、前年度と変わらない1人あたり204万5000円だった。47都道府県のうち、福岡県が唯一09年度の県民所得をいまだに公表していないが、福岡県の08年度の順位は26位。26位から一気に最下位に転落することは考えにくく、高知県の最下位は確実だ。
この統計の集計対象になった09年度は、08年9月のリーマンショック後、持ち直しの局面に入った時期だ。だが、これは麻生政権(当時)の経済対策や輸出に支えられた部分が大きく、内需の立ち上がりは不十分だとされていた。この「立ち上がり具合」に差が出たようだ。