眞紀子夫人に向き合う「日本一我慢強い人」 「袋叩き」田中防衛相に同情論も 

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   71歳で初入閣した田中直紀防衛相が「袋叩き」状態だ。全国紙・通信社報道の見出しには「『前代未聞』無断退席」「また不用意答弁」「また失言連発」といった文字が躍る。

   さぞやインターネットやテレビ情報番組での批判も激しかろう、と思いきや、中には「擁護論」を展開した情報番組もある。なぜか。どうも、田中眞紀子衆院議員(68)の「夫であること」と「我慢強さ」とが関係しているようだ。

故・角栄氏「直紀以外、眞紀子の夫はつとまらない」

田中防衛相をめぐる報道が相次いでいる。
田中防衛相をめぐる報道が相次いでいる。

   2012年2月3日、田中防衛相をめぐり、今度は「『行方不明中』にコーヒー」(時事通信)報道が流れた。1月31日の参院予算委員会中に無断で約15分間席を離れたことを批判されたニュースの続報だ。

   田中防衛相は、離席理由について「薬を秘書官に取りに行かせ、受け取ってきた」と説明していたが、今回、待っている間にコーヒーを飲んでいたことが分かったのだという。

   田中防衛相をめぐってはこれまで、「(国会答弁で)素人ぶりをさらに露呈した」(毎日新聞、2月3日付朝刊)といった厳しい指摘が続いている。また、答弁前に事務方が田中防衛相の後方から説明する姿が目立つことから、「腹話術をやめろ!」とヤジが飛んだことを伝えるなど揶揄する報道も多い。

   そんな中、情報番組「知りたがり!」(フジテレビ系、2月3日放送)が、防衛相問題を取り上げた。田中防衛相について、「勉強不足」とも指摘したが、全体としては「田中防衛相を擁護」している印象を与えそうな内容だった。「分かる人」(解説者)として、政治評論家の有馬晴海さんが登場した。

   番組では、田中防衛相について、眞紀子夫人の父で元首相の故・田中角栄氏がかつて、「直紀以外、眞紀子の夫はつとまらない」と評したことを紹介した。

   さらに議員仲間らからは「日本一我慢強い人」「怒っているところを見たことがない」と言われているとも伝えた。

   その後スタジオでは、「闇将軍」として政界を牛耳った大物政治家として知られる角栄氏をもってしても「手を焼いた」とされる眞紀子氏の夫である、ということと「我慢強さ」とを関連付ける会話があった。

野党質問は「クイズ形式の揚げ足取り」

   また、有馬さんが、田中防衛相の「勉強不足」を指摘するくだりで、眞紀子夫人の「コントロール」に「パワーを割かれているので…」と、ユーモアを交えて指摘すると、レギュラー出演者のお笑いの田村淳さん(ロンドンブーツ1号2号)は、「それも大事な仕事だと思う」と応じた。

   すると有馬さんも、永田町でも「そっちの方(眞紀子夫人のコントロール)」が重要で、立派だと言われている、と指摘した。よくぞ「緩衝材」として頑張ってくれている、ということらしい。

   こうした、一種の「同情論」とも言える空気が、マスコミによる「袋叩き」状態にもかかわらず、国会内での反発を緩和している可能性もありそうだ。

   有馬さんは加えて、自民党など野党側の問題点も指摘した。田中防衛相の「失言」「勉強不足」を引き出したとされる国会での質問は、本質論ではなく「クイズ形式の揚げ足取り」で、「意地悪な質問」だというのだ。

   民主党の「政治主導」を自民党などが逆手に取り、質問内容を事前に官僚に「ざっくり」しか伝えず、かつての自民党政権時代のようながっちりした答弁書は用意していない、という事情も背景にあると説明した。

眞紀子議員「いじめないようによろしくお願いします」

   ネットをみると、やはり田中防衛相を批判する声が多い。しかし、「『行方不明中』にコーヒー」報道などを例に、「揚げ足取り」のマスコミを批判する声や、「いじめの現場のような」国会中継について、野党議員に不快感を示す意見も少なからずあった。

   ここでも、国会議員間にあるという「眞紀子議員の夫であること」と「我慢強い」ことへの同情論のような感情が、間接的に影響しているのだろうか。

   もっとも、2月3日の「知りたがり!」による「擁護論」について、「擁護するのはおかしい」と疑問の声もネット上にあった。

   田中防衛相は、衆院3期もつとめ、現在参院3期目だ。2012年1月の内閣改造で初入閣した。かつて自民党に所属し、2009年に、すでに民主党と会派を組んでいた眞紀子夫人とともに民主党へ入党した。参院外交防衛委員長を務めたこともあり、経歴としては、防衛相は「守備範囲」だ。

   小泉純一郎元首相をかつて「変人」と断じるなど、毒舌でも知られる眞紀子衆院議員は12年1月16日、田中防衛相の「失言」について、「静観して本人がやれるのを待ってくださればありがたい」「いじめないようによろしくお願いします」と記者団に話している。

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