「自由報道協会賞」小沢氏受賞に異論続出 「選考不備」で仕切り直し

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   記者会見のいわゆる「オープン化」を目指して活動している自由報道協会が設けた賞をめぐり、会の内外から異論が噴出している。いくつかある部門のうちひとつに、「報じられる側」であるはずの民主党の小沢一郎元代表の受賞が決まっていたことが、その原因だ。協会側は、選考に不備があったとして、一度発表した受賞者を取り下げることになった。

江川紹子さん「退会する連絡だん」

小沢氏は、自由報道協会の会見に多く登場した(11年1月27日撮影)
小沢氏は、自由報道協会の会見に多く登場した(11年1月27日撮影)

   賞は、協会の発足1周年を記念したもので、

「取材、報道、評論活動などを通じてジャーナリストとして顕著な業績をあげ、ジャーナリズムの信用と権威を高めた個人・団体・および作品等を顕彰する」

ことが目的。公募の上、最終投票の対象になるノミネート作品が2012年1月25日未明に発表された。「大賞」「3.11賞」「報道賞」「マイクロジャーナリズム賞」「自由賞」の5部門で、それぞれ6~9作品がノミネートされウェブ上の投票が始まったが、その直後に異論が出た。「記者会見賞」については、いきなり小沢一郎氏の受賞が発表されたからだ。その理由は、

「自由報道協会が2011年に開催した67回の記者会見のうち、最多の6回、ゲストスピーカーとして登壇し、当協会の活動に大いに寄与した。また、『取材』『報道』を目的とする者であるならば誰もが参加できるオープンな記者会見システムへ理解を示し、言論の自由のために著しい貢献をした」

というものだった。

   これに対して、ジャーナリストの江川紹子さんは、深夜3時40分過ぎ、

「自由報道協会を退会する連絡だん」

とツイート、協会から距離を置く姿勢を示した。なお、「だん」とは「done=完了」の意味だ。その理由として、同日夕方に出演したTOKYO FMの「タイムライン」で、

「ある組織が賞を出すということは、その組織の価値観が色濃く反映されると思う。色々な価値観があっていいと思うが、『自分の価値観とどこまで合うのか』というところがあった。度量の大きい人は色々なところが(受け)入れられるのかも知れない。私は器が小さいのかなと思うが、『自分がいる場所ではないかも知れないな』というようなことを思った」

と、価値観の違いがあったことを明かした。

(1月27日10時35分追記) 自由報道協会によると、小沢氏の受賞を発表した後に江川さんから退会の意志をメールで伝えられたが「小沢一郎氏、もしくは記者会見賞が理由ではないと受け止めている」としている。

小沢氏については「協会賞とは別に顕彰したい」

   また、「3.11賞」には、北海道警の裏金問題を追及したことで知られるジャーナリストの高田昌幸さんが編集に携わったインタビュー集「@Fukushima 私たちの望むものは」(産学社)もノミネートされていた。だが、高田さんはブログで

「小沢氏の政治姿勢や小沢氏の事件に関する検察の姿勢などに関係なく、報道する側へのアワードと一緒に、通常は報道される側の権力者が並び立つことに強い違和感を感じております」

と、ノミネートの辞退を申し出たことを明かした。また、「協会賞」に、原口一博・元総務相がノミネートされていたことも「違和感を増長させた」とした。

   これを受け、協会は対応を協議し、1月26日15時半頃、「選考不備による『記者会見賞』の協議延期を決定しました」と発表。受賞者の確定をいったん取り下げるとした。ただし、小沢氏については

「当協会発足前からのご理解とご支援に感謝して、すべての協会賞とは別に顕彰したい」

としている。

   なお、「記者会見賞」以外の部門でのウェブ投票は1月26日24時まで受け付けており、1月27日19時から授賞式が行われる。

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