震災1周年当日に行う福島県民集会参加のバスツアーを福島瑞穂社民党党首(56)がツイッターで呼びかけたところ、批判が相次ぐ騒ぎになっている。福島氏側は、「重く受け止めており、表現を直したい」などと説明している。
震災が2011年3月11日に起きて2万人近くの人が亡くなり、福島県郡山市にも、その遺族を含め4、5000人の人が避難してきている。
「重く受け止めており、表現を直したい」
福島瑞穂氏は、そこで開かれる集会参加を呼びかけ、2012年1月18日にツイートした。バスツアーは、福島氏の事務所が連絡先になっている「脱原発をめざす女たちの会」が企画したものだ。この会は、作家や女優など数十人が呼びかけ人になっている。
ところが、このツイートには、直後から批判が出て炎上状態になった。集会案内には、パレードの予定なども書かれてあったことから、ツイッター上では、「静かに哀悼の意を捧げるべきでしょ」「来ないでください、迷惑です!」「国民に説明する責任を果たしてください」などと不満が相次いだのだ。
同調する著名人も出て、作家の柳美里さんはツイッターで19日、「私は賛同ではなく反対を表明する」と発言した。福島で暮らす人の心を踏みにじるべきではないとし、「電気使いまくってる東京でやりやがれ!」と怒りを露わにした。
もっとも、ネット上では、「なにが問題なん?」「これはいいだろ別に。津波による被災者とはまた別の話だし」「生きてる人間の為に行動するのも大事だよ」といった声もある。しかし、批判はなお強いようだ。
福島氏の事務所では、抗議の電話も何本か受けたことを明らかにしたうえで、秘書が次のように説明した。
「私たちは、集会に参加するだけで、それと違う行動をするわけではありません。1人で行くよりも、バスがあった方がいいと考えて企画しました。『バスツアー』の表現が悪いと思いますので、『バスで行きましょう』に直すつもりです。意見は重く受け止めており、事務局で会議をして見解をまとめ、『女たちの会』のホームページに近日中に載せる予定です」
県内外から2万人以上が参加見込み
福島瑞穂氏が参加を呼びかけた福島県民集会は、県教職員組合などでつくる県平和フォーラムが事務局となり、実行委員会方式で行われる。
県教職員組合によると、集会の目的は、原発中止や事故の影響除去、賠償などの実現だという。呼びかけ人として現在、著名な作家ら7人が名を連ねている。2012年3月11日の集会当日は、県内外から2万人以上が参加する見込みだといい、脱原発宣言を出すほか、郡山市内を30分ほどいくつかのコースに分かれてパレードを行う予定だ。
書記次長は、取材に対し、批判などはまだ聞いていないとし、「あくまでも県民の集会です。震災で亡くなられた方々への黙とうの時間もありますし、騒ぐのが目的ではありません」と理解を求めている。
連動している全国的な運動の「さようなら原発1000万人アクション」のサイト上でも、県民集会の紹介をしているが、そのコメント欄にも批判が相次いでいる。
その実行委員会の連絡先になっている原水爆禁止日本国民会議では、事務局次長が取材にこう答えた。
「うちでは直接的な抗議は来ていません。広島では原爆記念日にいろいろな行動もありますし、福島だけやってはいけないというのはおかしいのでは。当日は黙とうもするわけですし、応援で参加するので問題ないと考えています」
郡山市の原子力災害対策室によると、避難してきた4、5000人の半分ほどが今も仮設住宅で暮らしている。震災で直接亡くなった市民は1人だけだが、県民集会のある球場と道を挟んで向かい側にある市役所展望台にいて建物が崩れて犠牲になったという。
集会が開かれることについては、「当日はいろいろな立場の人がいろいろな活動をするわけですし、市としては特に感想などはコメントしていません」と話している。