国内最大手のインターネット検索サービス、ヤフージャパンが配信するニュースへのコメント機能が変更される。現状では、コメント投稿者のIDは一部伏せてあるが、これが全表示されることになる。
過去にコメントした内容がIDとともに閲覧可能になるため、「危ないコメントを書いたユーザーは大丈夫か」と懸念する声も上がった。
「ほかのお客様が不愉快にならないように」
現在、ヤフーニュースの記事に対するコメント欄には、投稿者のヤフー上のIDが表示されているが、これが「aaa*****さん」というように一部しか公開していない。IDをクリックすると、この投稿者の過去のコメント内容が一覧で見られるが、やはりIDは一部隠されている。
ヤフーの2012年1月19日の発表によると、2012年2月中に実施される変更で、まずニュースのコメント欄は、IDは現状の「伏せ字」のままだが、そこにユーザー登録時に設定する「表示名」が合わせて画面上に出される。さらに過去のコメント一覧に飛ぶと、今度はIDが丸ごとすべて表示される仕様に変わるという。
変更の理由についてヤフーは、「責任をもってコメントを投稿していただくため」と説明する。コメントする際の一般的な留意事項として、「ほかのお客様が不愉快にならないように心がけていただき」「個人を傷つけたり、不愉快な思いをさせてはいけません」と、マナーを守った行動を繰り返し求めている。個人に対する中傷や、宣伝目的のコメントは遠慮してほしいと強調しているのだ。
原則として、「自由な意見交換の場をあらかじめ制限するようや趣旨や意図で特定のジャンルや記事単位でのコメント機能の設定を制限することはありません」と宣言しており、記述内容の自由度が高い。半面、各記事のコメント欄には建設的な意見や議論だけでなく、個人や特定の団体への攻撃もみられる。
投稿者のプロフィルがつかめる可能性
IDや「表示名」が明示されるようになれば、コメントを書き込んだ人物のプロフィルがヤフー上で特定できる可能性がある。プロフィルには本名や性別、生年月日をはじめ個人情報が含まれる。もちろん登録者本人が必要最小限のデータしか入力せず、情報を「非公開設定」してしまえば細部までは分からない。そもそも「ニセデータ」を入れるケースも考えられる。
ただし、これまではIDが伏せられてコメント投稿者の横顔が全く分からなかったことを考えると、どんな人物が何を発言したのか少しは手掛かりができる。ヤフーの他のサービスを使っていれば、その人物の「行動履歴」もつかめるようになるかもしれない。完全匿名による「なんでもあり」のコメントを予防しよう、とのねらいのようだ。
ツイッターを見ると、今回の変更に対しては好意的なようだ。IDが全表示されることで「悪質なコメントが減ればいい」と望む声や、「自分のコメントに責任を持ってもらわないと」と、ヤフーの考え方に同調する意見もあった。
ポータルサイトでは、ヤフー以外にも「ライブドアニュース」がコメント欄を設けているが、こちらはユーザーのIDやアイコン画像が表示される仕組みになっている。(追記:下記の「関連記事」に続報があります。)