米ハーバード大図書館朝4時 猛勉学生たちで満席は本当か

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   米国の名門私立大学、ハーバード大学の図書館が話題を集めている。「朝4時の風景」として出回った写真には、勉強に励む学生たちでギッシリ「占拠」されている様子が写し出されていた。これだけでもちょっとした驚きだが、しかも、図書館の壁には、学生に向けた「20の教訓」が書かれているというのだ。

   確かに大学内の図書館のひとつは24時間開館している。「朝4時の風景写真」については真偽のほどは不明だが、「教訓」については図書館側も否定した。ただ、ねつ造されたのは4年も前だった。

24時間オープンの図書館はカフェも併設

「ワイドナー図書館」は夜10時で閉館(Wikimedia Commonsより)
「ワイドナー図書館」は夜10時で閉館(Wikimedia Commonsより)

   仕切りのついた勉強机に横一列に座る学生はみな、真剣に勉学に励んでいる。図書館の学習スペースを撮影した1枚の写真のようだが、部屋にある机はすべて学生でいっぱいだ。試験直前なら珍しい光景ではないが、これが朝4時の様子となると話が違ってくる。

   個人ブログで公開された写真で、場所はハーバード大学図書館とされている。朝4時に満員となっている図書館――。「世界はこのレベル感で動いていることを再認識」「これをみてみんなどう思うだろうか」と筆者はつづっている。

   ハーバード大学はオバマ米大統領をはじめ数多くの著名人を輩出した名門校で、世界の大学ランキングでも常にトップを争う。多くの人が眠りについている早朝に猛勉強する学生の姿に、「さすがハーバード」と思った人もいるかもしれない。とはいえ写真だけ見ても、本当にハーバードかどうかは判断できないのも確かだ。

   この大学には50を超える図書館が開設されていることが、ウェブサイトから分かる。最大規模の「ワイドナー図書館」の開館時間を調べると、最も遅い時間でも夜10時までとなっていた。他の図書館も、せいぜい午前0時まで開いているところが数えるほどだ。その中で「ラモント図書館」だけは、24時間開館しているようだ。勉強スペースや閲覧室が充実し、一服できるようにカフェまで併設している。全米で最初に学部生だけに向けた図書館として1949年にオープンしたが、24時間利用できる態勢となったのは2005年からだ。

   ブログに張られた写真が、ラモント図書館で勉強に打ち込む学生たちを撮ったかどうかは分からない。ただ米国屈指の大学だけに、時には朝4時でも学習スペースが満員となっても不思議ではない。

   ただし、このブログには続きがあった。写真に続いて「図書館にある20の教訓」がつづられていたのだが、これは完全に「偽情報」だった。

中国のネット掲示板でつくられたうわさ話

   ブログによると「教訓」の内容は「今居眠りすれば、あなたは夢をみる。今学習すれば、あなたは夢が叶う」「勉強に励む苦しさは今だけであり、勉強しなかった苦しさは一生続く」「人より早く起き、人より努力して、初めて成功の味を真に噛みしめる事ができる」といったものだ。もっともらしい言葉が並ぶものの、実際は「つくりごと」だった。

   ハーバード大図書館のウェブサイトには「Q&Aコーナー」があり、「20の教訓が図書館に壁に書かれていると聞いたが、どこに行けば見られるのか」との質問が投稿されていた。これに対する図書館側の回答は、「インターネット上、特に中国で流れていたうわさにすぎず、壁にモットーや教訓は一切掲げられていません」。さらにそこには、「うわさ」に関するこれまでの経緯をまとめたサイトのリンクも掲載されていた。

   そのサイトを見ると、「ハーバード大学図書館の学習スペースで、朝4時に壁に書かれた落書き」という話が2007年、中国のネット掲示板上に登場した。この「落書き」が、どうやら「20の教訓」にすり替わって伝えられるようになったという。教訓はもともと中国語で書かれており、その英訳が数パターンつくられた。調べてみると、ある中国語サイトで2008年12月6日付の記事として、「20の教訓」を紹介している事例が見つかった。

   4年前にでっちあげられたうわさ話が、めぐりめぐって和訳され、今頃になって日本を騒がせたというわけだ。

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