韓国が求めている従軍慰安婦への賠償問題に関し、朝日新聞のニュースサイト「アサヒコム(asahi.com)」が「野田総理、韓国へ慰安婦像7体を寄贈」と報じた、としてネットが騒然となった。
ただし、このニュースは「アサヒコム」の偽サイトに掲載されたものであることがわかった。犯人は「ツイッター」で、「5時間で10万ページビュー、ユニークで5万人釣れました」などと報告した。
野田首相の韓国に対する最高の嫌がらせ?
韓国ではこのところ「従軍慰安婦問題」が盛り上がり、2011年12月14日にはソウルの日本大使館前に、この問題の象徴として元慰安婦支援団体が少女の銅像を建てた。韓国の李明博大統領が来日し野田佳彦首相と会談をした18日にも、韓国側は慰安婦問題を取り上げた。その日、こんな記事が「アサヒコム」の偽サイト「ニュース アサヒコム(news- asahi.com)」に掲載された。
李大統領が従軍慰安婦問題に言及したところ、野田首相は法的には決着済みとの考えを示したが、大統領は誠実に対応しない場合は第二第三の像が建つと警告。
「それを受けた野田首相は、会談後、関係各所に指示をだし、慰安婦像7体を制作し、韓国大統領官邸へ送ることを指示」
という内容だった。
この偽サイトは「アサヒコム」と見分けがつかないほどそっくりに作られていたため信じる人が続出。記事は「ツイッター」で拡散され
「まるで恫喝に屈したかのようではないか」
「売国奴にも程があるわ。こいつにブロンズ被せて韓国に送りつけてやれ」
などというカキコミがネット上に大量に出て騒然となった。また
「最高の嫌がらせじゃないかw野田にしてはなかなかやるなw」
という意見も出た。
ただし、いくら「アサヒコム」にそっくりに作られていても、他の記事を読むためクリックすることで読者を騙す「釣りサイト」であることがすぐに判明し、サイトを作った人物も特定された。
朝日新聞は「必要な対応を検討」と回答
「newsasahicom」と名乗るこの人物は、18日深夜に
「いたずら終了しますー。ご迷惑おかけしました」
と自身の「ツイッター」上で謝罪し該当のサイトを削除した。朝日新聞の「ツイッター」にも謝罪文を送ったと書いている。
この人物の説明によれば、掲示板「2ちゃんねる」に話題を提供して「遊ぶ」つもりでサイトを作ったところ、予想を遥に上回る速度で情報が拡散。サイトを開設してから約5時間で5万人が訪れ10万回閲覧され、この話題をグーグルで検索すると約 356万件ヒットするまでになってしまったという。
この人物は「ツイッター」のフォロアーから、偽サイトを作れば著作権法違反で逮捕される、と指摘されると
「過去は変えられませんので、必要とあらば期待にみちた未来を差し出す気持ちでございます」
と観念している様子だった。
朝日新聞はJ-CASTニュースに対し、今回の偽サイト事件について
「事実関係を現在調査しており、必要な対応を検討します」
と回答している。