2011年12月18日午前、京都市の京都迎賓館で野田佳彦首相と韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領の首脳会談が行われた。李大統領がいわゆる従軍慰安婦問題に言及したのに対し、野田首相は「法的には決着済み」との考えを示した。
また、ソウルの日本大使館前に元慰安婦を象徴するとされる少女像が設置された問題で、野田首相は「早期に撤去を」と要請した。韓国側への配慮から野田首相は少女像問題に言及しないのではないか、との憶測もあったことから、インターネット上では「安堵」の声が多く書き込まれる一方、「あえて触れなくても良かった」という趣旨の指摘もあった。
大統領は「第2、第3の像も」
李大統領は、「両国関係の障害になっている慰安婦問題を優先的に解決する真摯な勇気を持たなければならない」と述べ、補償問題への前向きな対応を求めた。李大統領が野田首相との会談で、元従軍慰安婦の請求権問題に具体的に言及したのはこれが初めてのことだ。
一方、野田首相は「わが国の法的立場はすでに決まっている。決着済みだ」として、政府間協議には応じない姿勢を強調した。日本政府は1965年の国交正常化の際に交わした協定から、慰安婦問題は「完全かつ最終的に解決済み」との立場を貫いている。野田首相はこうした経緯を改めて説明した上で、「これからも人道的見地からさまざまな努力をし、知恵を絞っていきたい」と伝えた。
また、日本大使館前に元慰安婦支援団体が少女ブロンズ像を建てた問題については、野田首相は「誠に残念だ。早期に撤去を」と韓国側に要請した。
しかし李大統領は「日本政府が慰安婦問題にもう少し関心を見せてくれれば起こらなかった」と指摘し、「誠意のある措置がなければ第2、第3の像が建つ」と警告した。協議は平行線のまま終わった形だ。