スペイン若者2人に1人が失業 欧州の雇用問題は超深刻だ

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   欧州の財政危機で、ギリシャ、イタリアに続いて国債の利回りが急上昇しているスペイン。政府の経済運営への不満から、2011年11月には最大野党の国民党が7年半ぶりに政権交代を実現した。

   しかし、マリアノ・ラホイ新首相は「緊縮財政」への理解を国民に求めるなど、先行きが見えない若者らを中心に漂う「行き詰まり感」は解消できないでいる。25歳未満の失業率は、じつに48.9%にまで達している。

若者失業率、ギリシャ45.1%、ポルトガル30.4%

   スペインの失業率(全体)は2011年7月時点で、欧州連合(EU)で最悪水準の22.8%にある(EU統計局調べ)。スペインとしても、96年以降で最悪の水準だ。2007年5月の失業率は7.9%だったが、その後急上昇し08年5月には10.5%と10%を超え、09年1月には15%超、10年5月にはとうとう20%に達してしまった。それがさらに上昇しようかという勢いにあって、働く意思のある人の2割超が失業していることになる。

   スペイン以外のEU諸国でも、「優等生」のドイツが5.5%。イタリア8.5%、フランス9.8%となんとか1ケタ台を維持しているが、ポルトガル12.9%、アイルランド14.3%、ギリシャが18.3%と20%台に迫っている。ユーロ圏全体の失業率も10.3%に達した。

   なかでも、若者の失業率(25歳未満)は深刻だ。スペインでは48.9%と、ほぼ2人に1人が失業状態にある。

   スペインよりも低いとはいえ、ギリシャでは45.1%、ポルトガル30.4%、アイルランドは30.2%に達した。イタリアは全体の失業率は8.1%と低いものの、25歳未満層の失業率は29.2%まで上昇していて、ポルトガルやアイルランドとあまり変わらない水準にある。

   財務危機に陥っている、こうした国々を支援する立場にあるドイツは8.5%に踏ん張っているが、フランスは24.2%にまで上昇している。ユーロ圏全体では21.4%にある。

   ちなみに、25歳未満層の失業率は米国で9.1%、日本で8.0%(全体の失業率は10月で4.5%)だから、まだましなわけだ。

スペイン、大学の無償化や最低賃金の引き上げなどが響く

   一方、経済協力開発機構(OECD)はスペインの2012年の国内総生産(GDP)見通しを前年比0.3%増とし、11年5月予測の1.6%増から大幅に下方修正した。11年の成長率も0.7%と、これまでの0.9%から引き下げたほか、10~12月期(第4四半期)はマイナス成長を予想している。

   現在、スペイン国債(10年物)の金利水準が「危険水域」の7%に迫っており、「国債利回りが一段と上昇した場合、借り入れコストが上昇して不動産危機を長引かせる可能性がある」と指摘し、2012年の経済成長は低水準にとどまり、また来年の失業率は22.9%に上昇するとみている。

   スペインは2004年に大学の無償化、その後も最低賃金の引き上げや無償保育、健康保険の適用の拡大などの施策を立て続けに実施した。しかし、結果的にタダで大学は行った学生らが就職できずにいて、その怒りがデモとなって現れてサパテロ政権は倒れたわけだ。

   とはいえ、いま以上に失業率が上昇して失業者への公的給付が膨らむと、財政再建も思うようには進まなくなる。それどころか、公的給付そのものがこれまでのようには機能しなくなる心配がある。

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