オンラインゲーム運営会社が突如、人気ゲームの一時サービス停止を明らかにした。不具合を起こしたサーバーの短期間での復旧が難しいとの理由だ。
ポータルサイト「ハンゲーム」にも配信されていたが、運営会社から事前に休止の連絡を受けていなかったようで、ハンゲームが「サービス終了」と発表すると、利用者の間で騒動となった。
「こんな終わり方するネトゲ初めて見た」
オンラインゲーム「M2-神甲綺譚-」の一時休止が発表されたのは、2011年11月9日。都内にあるゲーム開発・運営会社「Sankando」は原因について、「サーバーの復旧が困難なため」と説明した。実はこのサーバーは10月21日に不具合が発生して停止、メンテナンス中だった。しかし「短期での復旧は難しい」と判断し、一時休止を決めたという。
「M2-神甲綺譚-」は、他のプレーヤーと一緒に冒険しながら、時に巨大なロボットに変身し、力を合わせて「悪の帝国」を倒すロールプレイングゲームだ。Sankandoのサイトだけでなく、多数のオンラインゲームを配信するポータルサイト「ハンゲーム」からも提供されていた。
11月10日、ハンゲームは急きょ利用者に向けてサイト上で事情を説明、そのうえで、
「大変急なお話しではございますが、本日2011年11月10日をもってサービスを終了させていただきます」
と発表したのだ。一時的でなく「完全終了」と解釈できる書き方だ。ゲーム内でのアイテム入手に利用する「Mコイン」を購入した利用者に向けては、ハンゲームで使える別の仮想通貨で「全額補償」するという。
突然のサービス停止の知らせに、インターネット掲示板では、「こんな終わり方するネトゲなんてはじめて見た」「バックアップとってないの?」など書き込みがあふれる大騒動となった。メンテナンスが失敗して、データがすべて消えたのではとの憶測も流れる。長い時間とお金をかけてきたのに、何の前触れもなく一方的な通告だけで突然ゲームができなくなるとは――。利用者からはこんなやりきれなさが伝わってくる。
運営会社の緊急メンテナンス「終了未定」
その後ハンゲームは11日になって再度、サイト上で経過を報告した。前日の内容に「誤解を招く表現があり」と利用者に詫びたあと、10月21日のサーバー不具合発生以降Sankando側と協議を重ねてきたが、その後「連絡が取りにくい状況が続き」、11月9日になって突如Sankandoがサイト上で一時休止を発表したのだという。事前にハンゲーム側には知らされていなかった模様だ。
同日午後には、3度目のリポートを掲載。Sankandoでサービスが休止状態となっている直接の原因を調査している最中だという。続けて、「運営会社とのコミュニケーション・連携が不十分であったことを深くお詫び申し上げます」と陳謝、一刻も早いサービス復旧を目指すと、再開に向けた努力をにじませた。
一方Sankandoは、「M2-神甲綺譚-」の一時休止を告げた翌日の11月10日、「未明より緊急サーバーメンテナンスを実施します」とアナウンス。これも終了時刻は未定となっている。11日午前には閲覧できた「M2-神甲綺譚-」のページが、同日午後には開かなくなった。継続中のメンテナンス作業による一時的な動作の不具合かもしれないが、サービスの一時休止についてハンゲームから「コミュニケーション不足」を指摘されているだけに、不安を感じさせる。
Sankandoは利用規約で、緊急の点検や運営上必要と判断した場合はサービスを中断でき、問題が解決できるまで利用を制限できるとうたっている。今回の休止も、規約に沿った対応とも言えるが、ネット掲示板の騒動を見る限りでは利用者の不満は募っているようだ。ゲームやアカウントデータは保存されていることが明らかになり、ひとまず「データ消滅で終了」は避けられそうだが、規約には、手続きを踏まえたうえでのサービス廃止の場合、利用者側に生じる損害はSankando側で一切責任を負わないとも書かれている。
それにしても、ハンゲームとSankandoの間でコミュニケーション上どのような問題があったのか。J-CASTニュースは11月11日、ハンゲームを運営する「NHNジャパン」にメールで問い合わせたうえで電話取材を試みた。だが電話口の相手は「後ほど担当者から連絡させます」と繰り返し、取り次いでもらえなかった。NHNジャパンからの連絡は11年11月11日19時現在ない。