全日空(ANA)が世界で初めて就航させたボーイング787型機の主脚(メインギア)にトラブルが発生し、別の機材に振り替えていたことが明らかになった。試験飛行の段階で落雷が発生し、飛行スケジュールが変更になったことはあったが、営業運航が始まってからのトラブルは初めて。
手動で主脚を出す
トラブルが起きたのは、2011年11月6日の羽田発岡山行きの651便。午前9時頃、着陸直前に「メインギアが出ていない」旨のエラーメッセージが出たため、着陸を中断。一度上昇した上で手動で主脚を出し、主脚が固定されていることを確認した上で着陸したという。この影響で到着が27分遅れたが、乗員・乗客にけがはなかった。
原因調査を行うため、折り返しの岡山発羽田行きの654便は、機材を787からほぼ同じ大きさのボーイング767-300型機に変更。2時間9分遅れで出発した。
現時点でANAは787を2機所有しており、トラブルが起こったのは1号機(JA801A)。すでに1日1往復就航している東京-広島便には2号機(JA802A)を宛てたため、運用上の大きな影響はない見込み。
787は機体の35%を日本企業が製造、「準国産機」とも言われており、従来機よりも燃費が大幅に向上。中型機だが長距離路線も可能ということで、これからの航空機の主流になると見られている。ANAは55機を発注済みで、世界の航空会社で最初の営業運航を始めたばかり。初期モデルは想定よりも重量が重く、その分燃費効率が下がるとみられ、いわゆる「初期不良」が起こる可能性も指摘されている。
ANA広報室では、
「こうしたトラブルに丁寧に対応することで、安全運航につなげていきたい」
と話している。
最新鋭機だけに一般の注目度も高く、ツイッターでも「メインギアが出ず、手動で下ろしたそうです」といった目撃情報が出ていた。