オリンパスのM&Aを巡る問題をスクープした月刊経済誌「FACTA」が、それがきっかけで社長人事の会見から締め出されたと訴えている。オリンパス側は、会場のキャパシティなどを理由にしており、見解が食い違っている。
この問題で、FACTAは、「『無謀M&A』巨額損失の怪」の2011年8月号特集で疑惑追及の口火を切った。10月号では、さらに調査報道第2弾として、「特別背任」の疑いにまで踏み込んでいる。
「入れるのは彼らがよしとするメディアだけ」
そんな中で、社内調査に乗り出したマイケル・ウッドフォード社長が、10月14日に「経営手法の違い」などを理由に解任され、株価が大幅に下落。その責任を取る形で、菊川剛会長兼社長が取締役に退き、高山修一専務が社長に昇格する人事が急きょ26日に発表された。
ところが、この日の会見には、「首を取った」と自負するFACTAの記者が入れなかったというのだ。阿部重夫編集主幹が、この日の月刊誌ブログで明らかにした。
阿部氏は、オリンパスの広報・IR室から出席を断られたとし、「会見場に入れるのは彼らがよしとするメディアだけで、FACTAはその中に入らないという説明だった」と明かした。問題の火付け役として会見に当然出席できると思ったといい、「なんて会社だろう」「そういう選別をするなら、こちらも容赦しない」と怒りを露わにしている。
首を取ったFACTAが怖くて、会見から締め出したというのは本当なのか。
オリンパスの広報・IR室では、取材に対し、こうした見解を否定した。
「会場のキャパシティもありまして、基本的にこちらからご案内差し上げているメディアにさせていただきました。FACTAの方には、お声かけをしていなかったということで、他意はありません」
当日は、100人弱の記者が参加し、兜町記者クラブや旧機械記者クラブのメンバーがほとんどだったという。
既存メディアと癒着とうがった見方も
J-CASTニュースの場合は、事前にオリンパスの広報・IR室に2011年10月26日の会見出席を申し込んだところ、開始時間や会場について教えられないとの答えだった。その理由については、明確な説明はなかった。
しかし、記者が独自に情報をつかみ、当日の会場受付でほかの記者とともに名刺を渡したが、制止されずに出席することができた。会場は、満席ではあったが、立ち見であれば十分にスペースはあった。
オリンパスでは、記者クラブ以外でも出席できたケースがあったことは認めた。ただ、出席できる基準について聞くと、「詳細は申し上げていません」の一点張りだった。
弊社では27日の会見についても申し込んだが、今度は記者クラブだけの案内で、ほかのメディアはお断りしているとのことだった。今後については、「申し上げることはありません」とだけ言っている。
今回の問題では、既存メディアの消極的な報道姿勢について疑問視する声がネット上などで相次いでいる。元大手新聞社専務が6月に社外取締役に就いたことから、オリンパス側と癒着があるのでは、とうがった見方もあるようだ。
もっとも、オリンパスの広報・IR室では、「そういった話はございません」と否定している。
とはいえ、外国メディアなどでは、「会見締め出し」問題に関心を示す向きも出てきた。26日の会見では、英ロイター通信の記者が「都合の悪いことを書いたメディアは締め出されました。そのことはご存知ですか」と質問し、これに対し、高山修一新社長が「それは聞いていません」と答える一幕があった。