冬のボーナスの行方は気になるところだが、経団連がまとめた大企業の2011年冬のボーナス妥結状況(第1回集計、回答87社)によると、製造業と非製造業を合わせた総平均 は前年比4.77%(3万3531円)増の81万480円となり、2年連続でプラスとなることがわかった。
今冬のボーナスは東日本大震災と円高の影響が懸念されるが、大企業では増額になるとみられ、サラリーマンにとっては、ひとまず朗報となりそうだ。
機械金属19.47%増、電機16.88%増と大幅な伸び
経団連は東証1部上場で従業員500人以上の大企業を対象に毎年、夏と冬のボーナスの調査をしており、今回は21業種248社が対象となった。冬のボーナスは今回の第1回集計を皮切りに、11月中旬に第2回集計、12月中旬に最終集計を行う。今回の第1回集計は87社と回答数は少ないものの、例年、全体的なボーナス支給の傾向はつかめるという。
第1回集計によると、製造業は5.59%増の80万9313円、非製造業は0.36%減の81万8061万円と、製造業、非製造業で差がついた。もっとも、第1回集計の非製造業は回答が10社に過ぎす、このうち9社が電力会社で、これに関しては第2回集計以降のデータに注目した方がよさそうだ。
製造業を業種別にみると、機械金属が19.47%増、電機が16.88%増と大幅に伸び、非鉄・金属が8.87%増、セメントが5.51%増、食品が4.77%増、自動車が4.45%増などと好調だった。一方、車輌は5.10%減、紙・パルプは4.86%減となった。いずれも、これまでの業績を反映したものという。鉄鋼、鉄道、繊維、化学などは第2回集計以降に回答が出てくるとみられる。
直近のピークだった2008年のレベルには届かず
気になる震災と円高については、これらの影響が実際のボーナスに反映されるのにはタイムラグがあるという。関係者によると「冬のボーナスは震災前の業績を基に春闘で労使が妥結しているため、その後の震災や円高の影響は基本的に反映されにくい」という。
ただし、震災や円高で業績が急速に悪化した企業はその限りでなく、年末にかけて経営側が再協議を労組側に呼びかける可能性もあるというから、注意が必要だ。
仮に再協議を行わず、このまま春闘の方針通りに今冬のボーナスを支給した場合も、震災や円高で業績が悪化した企業は、2012年の春闘でボーナスの削減を提案してくる可能性が高いという。
冬のボーナスは2008年秋のリーマン・ショックを受け、2009年に75万5628円(同15.01%減)と大幅に落ち込んだが、2010年から回復に転じた。しかし、直近のピークだった2008年の90万4885円(第1回集計)のレベルには今回も届かず、リーマン・ ショック以降の景気低迷の傷の深さを伺わせた。