人気アイドルグループ、AKB48のプロモーションビデオや出演したテレビ番組の映像が、動画投稿サイト「ユーチューブ」から次々に削除されているとインターネット上で話題になっている。
「著作権侵害」の申し立てにより削除されるケースだけでなく、投稿した本人が自ら消す場合も少なくない。無許可での動画アップは違法行為と理解しつつも、ネット上でAKB48を見られなくなる現状をボヤくファンもいる。
レコード協会やテレビ局から申し立て
ユーチューブには連日、ネット利用者からAKB48関連の動画が数多くアップされている。1時間に5、6本投稿されていることもザラだ。出演番組を録画したものやコンサートの映像、プロモーションビデオ(PV)が続々と並ぶ。
しかし一方では、このところ著作権違反を理由に無断投稿動画の削除も進んでいるようだ。いくつかのPVをクリックすると、「複数の申立人から著作権侵害に関する第三者通報が複数寄せられた」との理由で閲覧できなくなっている。「申立人」はレコード協会やテレビ局、レコード会社の名が連なる。
ネット掲示板ではこの対応に関して賛否が出た。基本的には「著作権を破っているのだから文句は言えない」「DVDなら買って見るべき」との意見が多いが、ネット上でお気に入りのアイドル動画を気軽に楽しめなくなるのを嘆く声も上がっている。ファンからは、
「youtubeなかったら絶対AKBなんかにハマらなかった」
「AKB人気がここまで大きくなったのは動画サイトのお陰 」
と指摘する書き込みもある。また、地方によっては放送されていない出演番組もあるため、「テレビ映像だけでも残して」と願う「わがまま」な要求もある。
最近は、投稿した本人が削除したとみられるケースも目立つ。単に「この動画はユーザーにより削除されました」としか表示されないため理由は分からないが、この9月末以降だけでも、群馬、兵庫、奈良、富山県警に、著作権侵害を理由に、テレビ番組などの動画投稿者が4人も逮捕されている。警察がこうした無断投稿に目をつけていることは間違いなさそうだ。その気配を察知し、自己防衛のために、過去にネットにアップした動画をあわてて引っ込める人がいても不思議ではない。
「少女時代」は容認、「KARA」は削除
AKB48に限らず国内のアーチストは、無断に動画サイトで公開された楽曲の動画が削られている例は多い。例えば人気グループ「嵐」の動画を検索すると、特に最近投稿されたPVは軒並み閲覧不可能となっている。ごくまれに、今も見られる状態のものが残っているが、テレビコマーシャル映像も「著作権侵害」として削除対象となっていた。
ところが、これが「K-POP」となると様子が変わってくる。少女時代や東方神起といったヒットメーカーも多くのPVがユーチューブ上に投稿されているが、問題なく視聴できるものがほとんどだ。一方で同じK-POPシンガーでもKARAの場合は、AKB48と同様に削除対象となっているものが多い。
同じ韓国のミュージシャンで対応が分かれている理由は不明だが、所属事務所やレコード会社によってネット上の動画の取り扱いに対する方針の違いがあると見られている。視聴可能になっているアーチストは、ネットで利用者の目に触れる機会を増やして知名度アップを狙う一種のプロモーションと割り切り、こうした動画を違法と分かっていながらあえて「放置」しているとも考えられる。