長時間パソコン(PC)を使ったデスクワークのあと、「文字がぼやける」「光がギラギラする」といった眼精疲労やドライアイを招くケースは少なくない。じつは最近、こうした目の症状を訴える人が増えているようなのだ。
その原因の一つとみられているのが「ブルーライト」。PCだけではなく、テレビやスマートフォンなどの液晶画面から発せられる青い光の目への影響が懸念されている。
きれいに見える液晶画面に思わぬ副作用?
2011年10月10日の「目の愛護デー」を前にオリコン・コミュニケーションが発表した「サラリーマン・OLの『目』に関する調査」によると、PCや携帯端末などのモニターを見るために1日平均11時間も目を酷使し、サラリーマンやOLの94.0%が「目の疲れを感じる」ことがわかった。
また、どのような要素が「目」に悪影響を及ぼしているか聞いたところ、「乾燥」が73.9%、「紫外線」が57.0%、「ハウスダスト」23.4%と続き、1割程度であるが、「ブルーライト」も13.6%あがった。
ブルーライトとは、可視光線の中で短波長の青色領域の光を指し、目の角膜や水晶体まで吸収されずに網膜まで到達するエネルギーがもっとも強い光のこと。
最近は「画像がきれいに見える」と、PCやテレビ、スマートフォンなどの液晶モニターが普及していて、そのバックライトに使われているLED(発光ダイオード)によって青色領域の光が増加しているとされる。
南青山クリニックの井手武副院長は、「ブルーライトの目への影響などについては現在検証を進めているところです。長期的な使用によって眼精疲労や目の網膜への影響、生態リズムの変調を来たして睡眠不足に陥るといった症状などを検証すべきという声がでていますし、眼精疲労やドライアイの患者が増えてきている印象はあります」と話している。
ブルーライト防御する専用メガネも登場
一方で、これまでもPCなどから発せられる光が目によくないことは指摘されていたが、具体的な対策を講じた人はそれほど多くない。前出の調査でも、目に疲れを感じた際に何らかのケアをしているか聞いたところ、55.9%の人が「ケアしていない」と答えた。
しかもPCなどを使って目の疲れを感じたとき、目薬を注したり、冷やしたり温めたりする人は多いが、あらかじめ目を保護するためにできることは少ない。PCの画面に取り付けるプロテクターやフィルムが市販されているが、どちらかといえば目を保護するというより画面自体を保護する役割が大きかったりする。
そうした中で、メガネチェーンのJINSから「JINS PC」というブルーライト対策の専用メガネが発売された。
JINSはブルーライトを55%カットするレンズをイタリアのインターキャスト社と共同開発。ブルーライトを抑えつつ、目に負担のかからない自然な見え方を実現した、という。
「ふだんメガネをかける習慣のない方にもかけてもらえるよう、フレームも軽く、視界の邪魔になりにくいデザインにしました」。来春には「度付き」も発売する予定だ。
ほかにも「ブルーライト対策」と銘打ったサングラスが発売されている。
前出の井手副院長は、「目が疲れるようであれば、保護用のメガネを使用してみる、1時間おきに目を休める、PCを目より低い位置に置くなど環境的に予防できることから始めよう」と訴えている。