週刊エコノミスト(毎日新聞社刊)2011年10月11日号の巻頭特集「国債暴落へのカウントダウン」がツイッターで話題だ。
注目はその見出しにある。じつは同誌では10年2月23日号で「日本国債暴落」、その4か月後の6月29日号で「国債暴落の『ウソ』」の見出しで売り出していた。いったい、国債暴落はウソなのか、ホントなのか。
「節操ない」と失笑買う
「エコノミスト」といえば、1923年創刊の経済誌の老舗。企業経営者や経済評論家、エコノミスト、アナリストらのインタビュー記事が豊富でファンも少なくない。40~50代のビジネスマンや経営者・管理職らが主な読者だ。
10月11日号の「国債暴落へのカウントダウン」では、国債の「基礎知識」から「同じ財政懸念なのに欧州と逆、日米で金利低下する理由」、格付けやCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)、日本の財政赤字といった議論をカバー。アナリストらの分析をまじえ、日本国債が徐々に国内で消化できなくなってきているとまとめている。
気になる「Xデー」については、日本が経常黒字から経常赤字に転落するときが危ないといった内容や、銀行が国債を引き受けられる限界が10年以内であると指摘している。
とはいえ、見出しは少々節操がないといわれても仕方がない。なにしろ、昨年2月の「日本国債暴落では、「ギリシャはひと事ではない」と煽っておいて、6月29日号では一転。「これだけあるギリシャとの違い」として、日本国債を擁護した。
そして再び「国債暴落へのカウントダウン」では、「それはないでしょう」というのである。
ツイッターのカキコミには、
「手のひら返しまくりワロタwwwwwww」
「じゃぁ来年は『暴落しない』特集かーww」
「わかりやしーマッチポンプwww」
と失笑が漏れる。
コロコロ変わる見出しは「売らんがため」?
カキコミには「売らんがためで、けしからん」との指摘もある。エコノミスト編集部にそのあたりを聞いてみた。
すると、「昨年2月23日号の売れ行きはよかったです。6月29日号はそれほどでも。ただ、基本的に国債ネタは関心が高く、売れ行きがいいです」と明かす。
ギリシャの財政危機が連日のように話題になり、それによって世界的な株安や円高が起こるのだから、日本の財政や国債のゆくえに関心が高まるのはうなずける。
エコノミスト編集部も、「(見出しが)ツイッターなどで話題になるのも、それだけ国債への関心が高いからでしょう」と話す。見出しのブレがひどいという指摘があることについては、とくにコメントがなかった。
経済誌やビジネス誌では「国債暴落説」が報じられると、よく「増税したい財務省筋が書かせた」「ヘッジファンドが扇動している」などとささやかれるが、同誌ではそんなことはなかったようだ。