米カリフォルニア州の砂漠で、4年前に行方不明となった日本人女性の遺体が見つかり、地元警察は殺人事件を視野に捜査を進めている。一方で、この女性の夫である米国人男性は、女性が姿を消す前から「出会い系サイト」に登録し、複数の女性と交際していたというのだ。
出会った女性たちとは、金銭をめぐってトラブルを起こしていたという。あるサイトには男性のプロフィルがさらされ、そこには「金の亡者」「うそつき」とののしる言葉が並んでいる。
日本人と外国人との出会いに焦点当てる
日本人妻が行方不明となったのは2007年だが、夫である米国人男性は06年から出会い系サイトを通じて別の複数の日本人女性と知り合い、交際に発展したと伝えられている。
米報道によると、男性は主に豪州の企業が運営している出会い系サイトを利用していたという。「日本人と外国人との出会い」に焦点を当てているサービスで、英語だけでなく日本語、ドイツ語、フランス語、韓国語にまで対応している。登録はすべて日本語で可能だ。
対象は「メルトモ」探しから結婚前提まで幅広いが、「外国人との出会い」を望むだけあって日本人会員で自己ピーアールや好みのタイプを自由に書き込む欄には、英語で入力している人が少なくない。一方、外国人の会員は、日本語で書き込んだり、日本在住だったりといったプロフィルが見られる。会員同士でメールやチャットのやり取りを通じて交流を深めるが、有料会員になれば、自分のプロフィルが他の会員より優先的に表示されたり、「ビデオメール」をつくって送ることができたりと、「自己アピール度」を高めることができる。
登録する情報は多岐にわたる。身長、体重から髪の色といった外見や、結婚・離婚歴、子どもの有無、収入、語学力も問われる。その代わりに「求める相手」への条件も細かく設定できる。将来の「移住」についても希望を聞かれるところが、外国人との交流をうたうサービスらしいところだ。ただし、内容を偽って登録すること自体は、難しくなさそうだ。
米国人夫のプロフィルは、既に削除されたのかこのサイトでは見られなくなっている。当時はファーストネームと、日本の在住地で登録していた模様だ。
「女性をゴミのように扱う」との書き込みも
この米国人男性と出会い系サイトで知り合い、交際したという日本人女性が、情報番組で当時の様子を語った。この女性はどれほど英語が堪能か不明だが、米国人男性の方は日本語会話力が比較的高かったという。女性によると、「チャットから始めて、電話番号を教えたら男性の方から毎日かかってくるようになった」。そこで有名大卒、合気道黒帯、職業は医師といった「華麗」な経歴を披露したそうだ。電話口で得意の日本語力を生かしたのかもしれない。
実際に交際がスタートすると、「クリニックの経営に必要」「妹が病気になった」といった口実で女性から数十万円を送金させた。ほかにもこの男性と金銭トラブルに巻き込まれた女性は複数存在するようで、中にはクレジットカードを不正に使われたケースもあるようだ。
この出会い系サイトとは無関係の、米国のある「苦情サイト」には、この男性が「出会い系異常者」として書き込まれていた。実名から自宅の住所、電話番号や携帯電話、メールアドレスが今でも閲覧できるような状態だ。
男性の評判は散々だ。「金の亡者で詐欺の常習犯、病的な嘘つき」「目的を果たすためなら、女性をゴミのように扱う」「未婚で子どもがいないと言いながら、本当は結婚と離婚を繰り返し、子どももいる」といった内容だ。そのうえで、
「今も婚姻関係は続いているのに、奥さんと一緒に暮らしていない」
といった記述もあった。事実、2007年に行方不明となった日本人女性とは、今でも法律上は夫婦となっている。
サイトの書き込みは、この男性に個人的な恨みを持つ人の嫌がらせかもしれず、内容が全面的に正しいとは断定できない。だが、日本のネット掲示板にもこの男性の「悪評」がかなり書き込まれているのもまた事実だ。
男性は、日本人妻が行方不明になって以降、捜索願を出していなかった。一方で、出会い系サイトで知り合った複数の女性と、金銭をめぐってトラブルになっており、不可解な点も多い。