個性化競う電子レンジ市場 売れるキーワードは「時短」と「ヘルシー」

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   電子レンジ市場が活況だ。日本電機工業会(JEMA)によると、2011年7月は前年同月比10%増の23万7000台と、5か月連続のプラス。しかも、4か月連続の2ケタ増となった。

   ヘルシー志向を打ち出した、シャープの「ヘルシオ」や日立の「ヘルシーシェフ」が人気を集める一方、東日本大震災以降の「節電」志向から、「時短」を売りものにしたパナソニックの「3つ星 ビストロ」も売上げを伸ばしている。

ごちそうが「10分」でできる

売れ行き好調なパナソニックの「3つ星 ビストロ」
売れ行き好調なパナソニックの「3つ星 ビストロ」

   2011年4~7月期の電子レンジ市場は、全メーカーの出荷台数が88万2553台で前年同期に比べて14%増えた。中でも、最近目立つのが、「ビストロ」の好調さで、35%増の6万4281台と大きく伸ばした(JEMA調べ)。

   また、パナソニックによると6月に発売した「ビストロ」の新製品、スチームオーブンレンジ「3つ星 ビストロ」シリーズが発売後1か月で月産台数の8000台の2倍に迫るペースで出荷台数を伸ばしており、11年上期においてもビストロ全体で15%の上積みを見込んでいる。

   「3つ星 ビストロ」の特徴は、「時短調理」。同社商品企画グループ国内電子レンジ商品企画チームの井上広美さんは、「オーブン料理は熱風で庫内を温めておく、予熱の分時間がかかるし、その分電気代がかかります。そこで食材に直接加熱することで予熱を必要としない調理方法を可能にしました」と説明する。

   具体的には、新開発の「ビストログリル皿」と「遠赤ブラックヒーター」による新「光ヒーターシステム」を搭載したこと。新「ビストログリル皿」は、下からのマイクロ波の吸収による発熱量を従来品より1.5倍高めたことで、立ち上がりから2分でビストログリル皿の温度が150度を超えるようになり、それによって焼き物や揚げ物などのメニューが「10分」でできるようになった。

   毎日使える「10分でちゃんとごちそう100レシピ集」も備え、「チーズカツレツ」や「白身魚の地中海風」などの「誰でも簡単につくれるごちそう」を10分で調理。トーストも両面を約5分でこんがり焼くが、「これほどの時短性能はこれまでありませんでした」(井上さん)と胸を張る。

各社が自慢の機能をしっかり提案

「ビストロ」は「ごちそう」を時短調理する(写真は、パナソニック「国内電子レンジ商品企画チーム」)
「ビストロ」は「ごちそう」を時短調理する(写真は、パナソニック「国内電子レンジ商品企画チーム」)

   ここ数年、電子レンジ市場は消費者のヘルシー志向を背景に、脂分を落とすスチーム機能を搭載したシャープの「ヘルシオ」や日立の「ヘルシーシェフ」などが売れ筋だった。

   最近の電子レンジ市場について、家電アドバイザーの神原サリーさんは、「震災後、消費者が節電を考えるようになったことで、『時短』が一つのキーワードになっていますが、それを含めメーカー各社が『個性』を競うようになってきました」と指摘する。

   パナソニックの「ビストロ」は、消費者の「時短」ニーズを取り込めたことがヒットにつながった。一方、ヘルシー志向をリードしてきたシャープは、8月25日に発売した新型「ヘルシオ」で、「骨まで食べられる」とさらにヘルシーさを前面に押し出したのが特徴だ。高温水蒸気の長時間加熱でサンマやイワシなどの魚を骨まで柔らかく調理するという。

   また、日立の「ヘルシーシェフ」は焼いてから蒸す「焼き蒸し料理」で、本格的な小籠包や餃子がつくれるのが売りものだ。

   「これまで電子レンジはたくさんの機能があっても、それを使いこなせる人は少なかった。そこにメーカーが気づき、各社が自慢の機能をしっかり提案するようになりました。消費者にとっては自分が必要とする機能を搭載し、かつ使い勝手のよいレンジを選びやすくなったといえます」と、神原さんは話す。

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