ソニーが今秋、タブレット型端末の発売を予定している。米グーグルが開発した基本ソフト(OS)、「アンドロイド」の最新版を搭載し、米アップルの「iPad」をはじめとする先行組を追撃する。
新型機のひとつの目玉となりうるのが、プレイステーション事業を抱えるソニーならではのゲーム機能だろう。だが、タブレット型端末でゲームを楽しめるようになれば、家庭用ゲーム機の需要に影響を及ぼすのではとの心配も聞かれる。
アンドロイド端末でプレステゲーム
現在開発中の「ソニータブレット」は、2011年4月26日に開かれた「ソニーITモバイルミーティング」で2種類の試作機が発表された。ひとつは「S1」というコードネームで呼ばれる、9.4インチサイズの画面をもつモデルだ。もうひとつの「S2」は折り畳み式で、5.5インチディスプレー2つを搭載する。発表の席で、ソニー業務執行役員の鈴木国正氏は、ジャケットの内ポケットからS2を取り出し、持ち運びの便利さをアピールした。
「S1」では、映画や音楽の視聴に加えてゲームを楽しむための操作性にこだわったという。実は「ソニータブレット」発表の3か月前、プレイステーション(PS)を手掛けるソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、アンドロイドOSを搭載する携帯型端末でPSのゲームができるようなプラットフォームを発表していた。さらに、アンドロイド端末からアクセスしてゲームコンテンツを購入できるマーケットの新設も予定していると明かした。
「ソニータブレット」は、アンドロイド用のPSゲームプラットフォームを持つタブレット型端末第1号となり、初代PSの複数のゲームが楽しめるようになるという。「モバイルミーティング」では、タブレットの画面上に操作ボタンが表示され、ゲーム機と同じ要領でプレーする様子が披露された。
例えば今後、開設予定のオンラインマーケットで最新版ゲームを「ソニータブレット」にダウンロードできるようにすることもありうる。PS事業で培った経験やノウハウを効果的に生かせれば、独自のゲーム事業を持たない米アップルや韓国サムスン電子といったメーカーのタブレット型端末と差別化できるかもしれない。だがそうなれば、ゲーム機としての需要がタブレット型端末と家庭用ゲーム機に分割され、家庭用ゲーム機の需要に影響することも考えられる。