自動車メーカーの電気自動車(EV)への取り組みが加速している。2013年には各社の電動車両が出揃うことになりそうだ。
長い歴史と伝統を誇るプレミアムブランドも対応に本腰を入れ始めた。中でも積極的なのがBMWだ。
新しい発想のコンセプトカー
「今、販売されている電気自動車(EV)は内燃エンジンを電気モーターに置き換えただけの妥協案でしかない。BMWは内燃エンジン搭載車に代わる明確な代替案を提示し、その車を市場に提供する」(独BMWのクラウス・ドレーガー開発担当取締役)
独BMWは2011年7月29日、フランクフルトのメッセ会場で電動車両のブランドとなる「BMWi(ビーエムダブリュー・アイ)」の発表会を開催。2台のコンセプトカーや電動車両専用の車体構造、素材、情報サービスなどを披露し、プレミアムブランドとしての製品とサービスのあり方を示した。
地球温暖化の防止に向けて自動車メーカー各社はEV開発にしのぎを削り、2013年には世界の主要自動車メーカーのEV(レンジエクステンダー含む)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)などの電動車両が出揃う。その中でBMWユーザーが大衆ブランドのEVに乗り替えることが懸念されている。
実際にこれまでにも、富裕層が環境性能に優れた大衆車に乗り替えたケースはある。米国のセレブの間でトヨタ自動車のレクサスではなく「プリウス」が人気となったことは、プレミアムブランドを自負する自動車メーカーにも脅威を与えた。
先進国のEV市場では「ニッサン・リーフ」「ミツビシi―MiEV」「シボレー・ボルト」といった大衆ブランド車に加え、高額な「テスラ・ロードスター」が市場開拓を進めている。とくにプレミアムEVはテスラが一人先を行く状態にある。このテスラのようなEVベンチャーが今後も現れないとは限らず、プレミアムブランドを持つ量産メーカーは危機感を募らせている。