富士山での遭難が過去最悪ペースで増えていると報じられ、ネット上では、入山料を取るべきなどと論議になっている。安易な入山をなくすには、どうすればよいのか。
「今は、富士山でも携帯電話の電波が入るようになりましたので、安易な110番、119番も多いんですね」
ヤフー意識調査では、8割が入山料賛成
登山道の富士宮口がある静岡県富士宮市では、商工観光課の担当者がこうため息をつく。
新聞各紙によると、富士山では2011年8月8日までに夏山遭難事故が23件もあった。これは、前年同期に比べて7件増えて過去最悪のペースになっている。すでに、死者も2人出ているほどだ。
背景には、安易な気持ちで登る人が増えていることがある。10年夏は、東京・新宿を金曜日の夕方出発するバスツアーで、登山道の吉田口などから真夜中に登る人が問題になった。土曜日の早朝に、山頂から朝日を拝むためだ。
睡眠を取らずに急いで登れば、高山のため体調を壊しやすい。そこで、吉田口がある山梨県富士吉田市などでは、危険だとして旅行業者らに自粛を呼びかけた。その結果、今シーズンになってこうしたツアーは少なくなったという。しかし、その後も、準備不足のまま単独登山などをして遭難する人は後を絶たず、各自治体も、対策に頭を悩ませている。
しかも、入山者からの安易な救助要請も目立っている。自力で歩けるにもかかわらず、携帯電話から警察などに通報する人もいるという。警察から依頼を受けた山小屋が救助に3万円ほどかかることを告げると、「金がかかるならいい」と自力下山したケースも伝えられている。
こうしたニュースに、ネット上では、入山料を取ったり、救助に備えたデポジット制にしたりするべきなどの意見が多く出ている。ヤフーが08年9月に行った意識調査では、富士山有料制に賛成する意見が8割にも達しており、受益者負担を求める声は根強いようだ。