「ソーシャルメディアが火に油を注いだ」とも言われる英国の暴動で、デービッド・キャメロン首相が、これらのサービスの利用を規制する可能性に言及した。SNSを通じて騒乱が広がったエジプトや中国では、すでに規制が行われているが、これに追随することに批判の声が相次いでいる。
一連の暴動をめぐっては、すでにロンドン警視庁がツイッター、フェースブック、ブラックベリーメッセンジャー(BBM)で交信された内容について捜査を進めている。英国南部のサウスハンプトンでは、3人の男がソーシャルメディアで暴動を扇動した容疑で逮捕されている。
警察や情報機関、通信事業者と検討
キャメロン首相は2011年8月11日の下院で、BBMが暴徒に悪用されたと指摘。
「彼ら(暴徒)が暴力や騒乱、犯罪行為を計画していることが分かった際、ウェブサイトや(ソーシャルメディアの)サービスを介した通信を遮断することが適切かどうか、警察や情報機関、通信事業者と検討している」
と説明した。
BBCによると、メイ内相は、これらサービスを運営する3社の代表と会談し、暴動時の通信内容に責任を持つように求めたとみられる。
チュニジア、リビアではソーシャルメディアの役割を称賛
先進国では異例の対応ともいえ、早速批判の声もあがっている。例えば人権団体からは、
「いつ暴動が計画されているのかを、どうやって知るのか。誰が判断するのか」
「現実的な策は、裁判所が判断することだ。もしそうでないであれば、携帯電話会社や警察が、すぐに規制を濫用することだろう」
と批判。
キャメロン首相の発言を伝えるBBCの記事のコメント欄でも、
「本気で言っているのか?北アフリカ(チュニジア、リビア)で革命が起こったときのソーシャルメディアの役割を称賛し、両国政府のネット規制を批判しておきながら、こういうことを提案するのか」
「ツイッターで『マンチェスターで暴動が起きている』という噂を見たので、すぐに現地で働いている知人に、事件が起こっているかもしれないと伝えました。政府は、こんな風に知人に危険を知らせることすら規制してしまうのでしょうか?」
と、批判的な声が大半だ。