韓国が、日本海を「東海」(トンヘ、East Sea)と表記すべきだと主張している問題で、米国政府が「『日本海』という表記は国際的に認知されている」などとする見解を示した。
この20年近く議論になってきた呼称問題だが、韓国側には「外交力に限界」などと敗北ムードすらただよっている。
韓国政府は「東海」「日本海」併記を要求
発端は、国際水路機関(IHO)が出版している「海洋と海の境界」の改訂作業だ。「海洋と海の境界」は、世界の海域の地名が掲載されており、いわば「公式の海図」と位置づけられている。改訂作業を進めるにあたって、IHOは加盟国に対して、「日本海」または「東海」の表記について意見を求めていた。
複数の韓国メディアによると、米国と英国が、「日本海」のみを表記すべきだとする意見を提出。この報道内容が、2011年8月8日の米国務省の記者会見で裏付けられた。
この問題に対する国務省の立場はどうか、との質問に対して、マーク・トナー副報道官は、
「我々も、国際的に認知された用語である『日本海』という用語を使用していると思う」
と、「日本海」を支持することを明言。
国務省の立場は、『日本海』のみを使用するということなのかという質問にも、
「米国(政府)では地名委員会(BGN)が決めた地名を使用することになっており、BGNでは『日本海』を使っている」
と答えた。
「最も親密な同盟国のひとつを敵に回す名前を使うというのが米国の政策なのか」と食い下がる記者もいたが、トナー氏は「BGNで決めたことだ」と一蹴した。
これを受け、韓国政府は、「少なくとも『東海』と『日本海』を併記すべき」との立場を米国に伝えるなど、反発姿勢を見せてはいる。だが、情勢は大きくは変わらないとの見方が大勢だ。
朝鮮日報では、「韓国の外交力に限界」と題して一連の経緯を報じる中で、一度はIHOで「日本海の名前を消し、合意ができるまでは名称を空白のままにする」などとする草案が作成されたことを紹介。結局この草案が議決に至らなかった背景を
「日本政府が背後で外交力を集中させ、総力戦で臨んだためだった」
と分析している。
IHOでは1929年から「日本海」という表記を続けていたが、韓国が92年から「東海」という名称を併記するよう求めていた。このため日本は外務省のウェブサイトに「日本海」の正統性を主張するコーナーを、日本語だけでなく英語や韓国語でもつくり、反論していた。